1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640675
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Research Institution | SHIMANE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
赤坂 正秀 島根大学, 理学部, 助教授 (20202509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高須 晃 島根大学, 理学部, 助教授 (00183848)
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Keywords | 熱水合成実験 / マンガン鉄鉱床 / 紅簾石 / オホーツク石 / パンペリー石 |
Research Abstract |
当該年度の研究計画に基づいて,本科学研究費補助金により設置した熱水合成装置を用いて紅簾石,マンガンパンペリー石-(Mn^<2+>),オホーツク石の安定関係を決定する実験を行った.出発物質はCa_2Al_2MnSi_3O_<12>(OH),(Ca_<0.8>Sr_<0.2>)_2Al_2MnSi_3O_<12>(OH),(C_<0.6>Sr_<0.4>)_2Al_2MnSi_3O_<12>(OH)の3種類の紅簾石の化学組成に相当する量の特級試薬を混合して作成した.それを,Cu_2O-CuO bufferを用いて2kbの圧力下で,500℃,550℃,600℃の各温度で実験した結果,これらの条件下では,紅簾石が安定であった.4kbで同様のbuffer,温度条件で実験を行った結果,やはり,紅簾石が安定であった.bufferをhematite-magnetiteにして同じ圧力・温度条件で実験を行った結果,ザクロ石が安定であった.紅簾石とパンペリー石-(Mn^<2+>)の関係を明らかにするために,2kbおよび4kb,250℃で10週間の実験を行った.X線粉末回折による同定を行った結果,生成物はパンペリー石と緑泥石からなる可能性が高いことがわかった.ただし,実験生成が極めて細粒であり,偏光顕微鏡あるいはEPMAによる鉱物の化学分析が不可能であったため,最終的な決定はなされていない.本験実の結果から,紅簾石とパンペリー石-(Mn2+),ザクロ石の安定関係に関する手がかりが得られた. 本実験的研究では1つの実験時間が1〜2カ月を要するため,当初予定していたFeを含む系の実験まで行かなかったが,しかし,天然のマンガン鉄鉱床の変成条件を鉱床の変成鉱物から決定する上で極めて有効な結果が得られた.従来母岩の変成鉱物の組み合せから鉱床の変成条件を推定していたが,本実験により,鉱石中の変成鉱物が実際にその変成条件で生成し得ることが確認された.このことから逆に,変成マンガン鉄鉱床の変成鉱物から変成条件を推定することへの道が開かれた.
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[Publications] 鈴木 徳行: "隠岐島後中新世郡累層に見いだされた泥質岩中の方沸石コンクリーション" 島根大学地質学研究報告. 10. 89-95 (1991)
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[Publications] 赤坂 正秀: "メスバウアー分光学の鉱物学への最近の応用状況-とくにケイ酸塩鉱物を例にして-" 鉱物学雑誌. 21. 3-20 (1992)
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[Publications] Ko Ikeda: "Crystal-Field spectroscopic study of Cr-doped mullite" American Mineralogist. 77. 251-257 (1992)
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[Publications] Masahide Akasaka: "Mineralogy of piemontite-bearing schist in the Yamagami metamorphicrocks of northeastern Abukuma Plateau(in press)" 岩鉱. 88. (1993)