1992 Fiscal Year Annual Research Report
人工化が進む河道内で生態環境をより良くするための河川構造物に関する研究
Project/Area Number |
03650420
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中村 俊六 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10023300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 清 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (50191820)
木曽 祥秋 豊橋技術科学大学, 工学部, 講師 (20144206)
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Keywords | 河川の生態環境 / 河川構造物 / 増水時の避難場所 / 摂餌場 / 産卵場 / 魚道 / 迷入対策 / 河川浄化 |
Research Abstract |
1.生態環境の強化に関して得られた主要な知見 (1)河川改修などに伴う河川の人工化の弊害は、主として河道形状の単純化によって生じる。したがって、単純化を避け、できるだけ複雑な河川空間を作り出す河川構造物を設置することが、生態環境強化のための基本となる。 (2)魚がすめる川の必須条件は、最低限の流量と良好な水質、増水時の避難場所、摂餌場、産卵場、および回遊路、のすべてが確保されることである。 (3)産卵場は人為的に作り出すことができる。アユの場合、産卵に適した粒径の砂利を、適地に投入するだけでも効果がある。 (4)従来の全面越流型の階段式魚道には根本的な問題があるが、隔壁の一部を非越流壁とすることで主要な問題点の解消をはかることができる。 2.治水機能の維持・強化に関して得られた主要知見:良好な生態環境の一部は、増水時の局所洗掘によって得られるので、生態環境の強化のための工夫がもたらす局所洗掘の簡便な解析法を開発することが急務である。 3.水質保全機能の維持強化に関して得られた主要知見:礫間浄化施設など、河川の自浄作用を回復する工夫は種々開発されているが、その効果に多くを期待するには無理があり、河川へ流入する以前の段階での浄化設備の充実を優先すべきである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中村 俊六: "魚道の設計理論試案" 魚道の設計シンポジウム論文集. 93-101 (1992)
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[Publications] 中村 俊六: "日、米、欧河川・魚類生息環境の近況報告" ダム湖と魚類施設についてのシンポジウム論文集. 3-16 (1992)
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[Publications] 中村 俊六: "ダム湖と魚について" 生態環境シンポジウム予稿集. 3-11 (1992)
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[Publications] 稗田 肇,和田 清,中村 俊六: "既設魚道改善の現地実験" 土木学会第47回年次学術講演会講演概要集. 2. 434-435 (1992)
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[Publications] 広岡 由香利,石原 安雄: "河川における自然環境の評価について" 土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 171-172 (1992)
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[Publications] 下沼 誠,中村 俊六 他: "簡易デニール式魚道の試験設置と実験" 土木学会中部支部研究発表会講演概要集. 181-182 (1992)