1991 Fiscal Year Annual Research Report
ハギア・ソフィア大聖堂の修復および補強の歴史に関する研究
Project/Area Number |
03650500
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 健一郎 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (30144215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達生 大同工業大学, 建設工学科, 助教授 (40131148)
|
Keywords | ハギア・ソフィア大聖堂 / ビザンティン |
Research Abstract |
研究期間前半に当たる今年度は、並行して進められている海外調査のための基礎研究として、19および20世紀の修復と補強の歴史に関する資料の照会、収集を行なった。19世紀半ばのフォッサ-ティ兄弟による大々的な修復作業に関しては、彼らによって設置し直された2階ギャラリ-の円柱を資料の上から特定し、昨年8〜10月の海外調査で現地での確認を行なった。平成4年度の現地調査では、2階ギャラリ-部分の写真測量を行なう予定であり、この測量によって明らかになる床面、円柱基台、円柱、上部ア-チ等の傾き、変位の定量的、定性的傾向を考察する上での基礎資料が本研究によって整備されたことになる。本研究は、並行して行なわれる学術調査の課題、成果を有機的に関連させつつ、現地調査では困難な基礎的資料研究を国内で行なうことを目的としており、初年度はこの目標がほぼ達成されたといえる。また、フォッサ-ティによる修復・補強を意識した実測計画、構造調査計画を立案することができたことも本研究の成果である。 しかし、フォッサ-ティによるド-ム基部の鉄製リングの設置工事に関しては、予想した資料が発見できず、現在のところ、資料研究が中断している。平成4年度の現地調査の析に、イスタンブ-ル古大書館でさらに資料調査を行う予定であるが、原資料に関して見通しが得られない場合には、もう一つの研究対象である20世紀半ばまでの修復関係資料をイスタンブ-ル修復研究所で調査し、帰国後に本研究費により資料研究を進めることにしている。19〜20世紀半ばのハギア・ソフィア大聖堂の修復、補修工事に関する資料、図面の現地での保管状態は混乱しており今後の調査と将来の保存策にとって、早期にそれらを基礎資料として整理することが必要である。来年度はこの作業を主目標としたい。
|
Research Products
(1 results)