1992 Fiscal Year Annual Research Report
ハギア・ソフィア大聖堂の修復および補強の歴史に関する研究
Project/Area Number |
03650500
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日高 健一郎 筑波大学, 芸術学系, 助教授 (30144215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達生 大同工業大学, 建設工学科, 助教授 (40131148)
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Keywords | ハギア・ソフィア大聖堂 / ビザンティン |
Research Abstract |
本研究は、科研費海外学術研究(研究課題:『小アジアとその周辺地域における大規模な組積造ドームの構造と歴史に関する学術調査』)と並行して進められた。昨年度に続き、本年度はフォッサーティ兄弟によるハギア・ソフィア大聖堂の修復工事に関する文献と資料の整理を行ない、さらにイスタンブール修復センターに保管されている図面および資料から、20世紀半ばのさまざまな修復工事を部位別に整理した。 ベッリンゾーナ資料館所蔵のフォッサーティ関係資料からは、会堂本体の構造に関わる以下のような修復工事の内容が判明している。 a)ギャラリー階エクセドラの12本の傾斜円柱の据え直し。 b)ドームのクラック(特に東側に多かった)の充填、および二つの鉄製リングでによるドーム基部の補強(このうち一つはドームの基部、一つは方形のドーム・ベースの周囲とされている)。 この文献研究の成果は、上記科研費海外学術研究の研究成果報告会(平成5年3月20、21日)であわせて発表する予定である。 一方、20世紀半ば以降の修復資料については、修復センターでの保管・整理状況が極端に悪く、当初想定した図面ないし資料が一部しか収集できていない。しかし、今世紀後半の修復は室内表層の塗り直し、屋根鉛板の葺き替えなど、構造に直接関わる事項が少ないので、現在は、研究の力点を19世紀末から20世紀前半に移し、海外調査を通じて収集した資料・文献に関する研究を進めている。この研究成果も、併せて上記研究報告会で公表する予定である。
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