1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650769
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷垣 昌敬 京都大学, 工学部, 助教授 (30027148)
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Keywords | 多孔質膜 / 膜構造 / 物質透過 / 計算機シミュレ-ション / 膜孔径 / ハ-ゲン・ポアズイエ流れ / 分子拡散 / クヌ-セン拡散 |
Research Abstract |
(1)膜透過実験:組み上げた液透過実験装置を用いて、各種の孔径のの異なる市販多孔質膜の単独液(主として水)の圧透過実験を実施している。孔径の大きい膜では基本的にハ-ゲン・ポアズイエの式で説明できるが、膜の供給者によって公称孔径の決定方法の違いが問題であることが判明した。孔径が小さくなると、クヌ-セン機構を考慮することが必要になってくるが、現実には液の平均自由程は小さいので、現在使用している膜では、完全にクヌ-セン領域に入っている訳ではなく、遷移領域としての取扱が必要である。 上記の液透過実験とともに、従来からある膜蒸留および湿度制御実験装置を用いて、各種膜に関する水蒸気の透過実験も実施している。この場合、孔径の大きい膜では分子拡散機構が適用できるが、孔径の小さい膜では、拡散係数は明らかに小さくなり、拡散係数が孔径に比例して小さくなる完全なクヌ-セン領域が測定された。直孔膜では理論式とよく一致したが、複雑な構造を有する膜では、平均孔径の円管としての式とは数値的に必ずしも一致せず、膜構造の適切な“ものさし"の必要であることが判明した。 (2)計算機シミュレ-ション:まず、直孔内での分子運動をシミュレ-トするプログラムを作成した。得られた結果は理論値と一致し、このプログラムは分子拡散およびクヌ-セン拡散機構を正しく再現することが判明した。現在、規則的に配置された円柱および球で構成される膜でのシミュレ-シュンプログラムが一応完成し、結果を検討している。有効孔径の減少と共に拡散係数は減少するが、有効孔径として何を用いるかが問題である。 (3)膜構造の表現:現在、各種の市販膜の構造を電子顕微鏡で観察しており、平均径や孔の構造を測定して、結果の整理法を検討している。
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