1992 Fiscal Year Annual Research Report
生成物の分離を伴ったバイオリアクターシステムに関する研究
Project/Area Number |
03650787
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Research Institution | OITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
羽野 忠 大分大学, 工学部, 教授 (80038067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 孝明 鹿児島工業高等専門学校, 助教授 (80128339)
松本 道明 大分大学, 工学部, 助教授 (10157381)
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Keywords | バイオリアクター / 溶媒抽出 / 液膜 / W / Oエマルション / 有機酸 / アミノ酸 / 抗生物質 |
Research Abstract |
本研究では、溶媒抽出系および溶媒抽出を発展させた液膜系を反応槽に組み込んで効率良い生物反応操作を実現することを目的とした。このために、代表的なバイオ生産物であるアミノ酸、ペプチド、有機酸および抗生物質について、前年度は基礎となる抽出平衡関係を検討し、これを支配する因子を明らかにした。今年度はこれらの知見をもとに乳化液膜操作を行い、分離操作としての可能性を検討した。最後に乳酸発酵を例に発酵操作と抽出操作を組み合わせたプロセスの開発を行った。 1 アミノ酸及びペプチドの分離 乳化液膜によるアミノ酸の透過速度について平面接触型撹拌槽を用いて検討した。実験結果は瞬間反応を伴う2重境膜モデルで良く表されることがわかった。 2 抗生物質の分離 反応抽出の例が今まで知られていなかったβ-ラクタム系の抗生物質であるセファロスポリンCの反応抽出に、4級アンモニウム塩を抽出剤として用いて成功した。この系を用いると、抽出-逆抽出ともセファロスポリンCが比較的安定な条件下で行えることがわかった。 3 有機酸の分離 実発酵液からの乳酸回収プロセスを検討するために、実際の発酵液を想定して抽出系の検討を行った。発酵終了後の濾液を対象とするのであれば、pHは2-3前後であるため溶媒和型の抽出剤が有効であった。一方in situな抽出分離を行うためには、発酵至適pHが6付近であるためイオン交換型の抽出剤が有効であった。しかしこの抽出剤は菌体に対する毒性が大きいため、発酵と抽出の至適pHを一致させることは困難であった。このため両者の中間pH3.5付近で抽出発酵を実際に試み、良好に運転できることを確認した。
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[Publications] Tadashi Hano: "Separation and Enrichment of Amino Acids with liquid Surfactant Membrane.," Solvent Extraction 1990(Elsevier),. 1881-1886 (1992)
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[Publications] Tadashi Hano: "Application of Liquid Membrane Technique to the Recovery of Fermented Organic Acids.," Solvent Extraction 1990(Elsevier). 1887-1892 (1992)
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[Publications] 羽野 忠: "液膜法による抗生物質回収プロセスの開発," Bio・Industry,. 9. 429-436 (1992)
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[Publications] Tadashi Hano: "Rective extraction of cephalosporin C" Journal of Chemical Engineering of Japan,. 25. 293-297 (1992)
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[Publications] Tadashi Hano: "Solvent Extraction of Di-and Tripeptides with Quaternary Ammonium Salt," Proceedings of International Solvent Extraction Conference 1993. (1993)
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[Publications] Tadashi Hano: "Recovery of Lactic Acid by Extraction from Femented Broth," Proceedings of International Solvent Extraction Conference 1993. (1993)