1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03660060
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安藤 豊 山形大学, 農学部, 教授 (90005661)
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Keywords | 肥効調節型肥料 / 利用率 / 環境 / 水稲収量 |
Research Abstract |
現在の日本の作物栽培に要求される課題は、低コストおよび環境への影響の低減にあるといえる。肥料成分の溶出が調節可能な肥料を作物栽培に使用することは、この課題にこたえるひとつの方法と思われる。そこで本研究では、肥効調節型肥料をもちい、肥料の溶出パタ-ンと水稲の生育・収量の関係、および環境への影響を明らかにすることを目的として行なった。本年度は、圃場試験を中心に水稲生育・収量と肥効調節型肥料の関係を中心に検討を行なった。試験は、品種、栽植密度および基肥量を変えて検討した。得られた結果は以下の通りである。 (1)水稲の生育:基肥量、品種によらず水稲の最高分げつ期は同一であった。しかし、最高分げつ期は栽植密度が密になるほど早くなった。また基肥量が多いほど、肥料の種類に関係なく最高茎数が多くなった。 (2)水稲の窒素吸収パタ-ン:生育初期は茎数の増加パタ-ンと同一の傾向を示した。生育中後期は、肥効調節型肥料を用いた区で速効性肥料(硫安)を用いた区よりも窒素吸収量が増加した。 (3)単位面積当たり穎果数:単位面積当たりの籾数は、退化穎果数が試験区で差がみられなかったことより、分化穎果数に支配された。分化穎果数は水稲の窒素吸収パタ-ンに関係なく、穎果分化終期の窒素吸収量と比例した。 (4)水稲の収量:水稲の収量は単位面積当たりの籾数と比例した。肥効調節型肥料を用いた区では、生育初期の窒素吸収量が抑制されたが、収量は速効性肥料区と差がみられなかった。 (5)基肥窒素の水稲による利用率・利用率は品種間に差がみられなかったが、栽植密度、肥料の種類によって異なった。栽植密度では、密植になるほど利用率が向上した。肥効調調節型肥料を用いた地区では、いずれの栽植密度でも速効性肥料に比較して利用率が約20%向上した。
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