1991 Fiscal Year Annual Research Report
酵素による反応加速の分子機構ーその解析と生化学反応への応用
Project/Area Number |
03660081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 正健 京都大学, 農学部, 助手 (90026576)
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Keywords | 酵素分子 / 酵素触媒反応 / 反応加速機構 / 近赤外線照射 |
Research Abstract |
酵素は生の状態と変性した状態との間に中間体があって、これが酵素の活性な形である、と考え、近赤外線照射に依って、酵素は中間体へ移行する、と言う反応加速に関する仮説を立てて、以下の実験を試みた。 1、先ず、酵素の構造・機能相関に関する実験資料を得た。αーアミラ-ゼの6Mユレアに依る構造変化は、二段階に生じ、一段階目は、触媒機能に関与しないことが知られた。ザイロ-スイソメラ-ゼは、NaCl濃度に依存して、4量体→2量体の転移が生じ、触媒活性と基質の取り込み能は、転移に依っても変化しなかった。シクロアミロ-スグルカノトランスフェラ-ゼの化学修飾を試み、構造と触媒機能との相関をトリプトファン残基を目印として観測できた。グルコアミラ-ゼの熱に依る構造変化を分光光度法を駆使して観測した結果、構造変化の時間経過を観測・記録・解析できることが判明した。 2、遷移状態アナログ(グルコノラクトン)の共存下で、熱に依る構造変化を観測したところ、アナログ濃度に依存して、速度は遅くなり、グルコノラクトンが構造変化を抑制することが知られた。変化速度のアナログ濃度依存性から求めた、酵素ーアナログ複合体の解離定数は3.8mMで、他の技法を用いて求めた値に略一致した。以上の結果、本研究で立てた、作業仮説は実験に矛盾するものでないことが判明した。 3、本研究の経費で購入した機器及び部品を用い、波長域400ー2,500nmにわたって、近赤外光が照射できる装置を組み立てた。本装置の基本性能試験を、水、緩衝液、酵素溶液等に付いて行った。その結果、液の温度を上昇させないで、酵素試料に照射する波長を特定することが、ほぼ可能となった。今後、光ファイバ-を購入して、試料に効率よく照射できるよう装置を改良し、よりよい実験成績を得て、仮説の実証を行っていきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大西 正健: "Substrate binding site of Streptomyces xylose isomerase,studied by the fluorecsence spectrophotometry using xylose and xylitol" 澱粉科学. 38. 41-44 (1991)
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[Publications] 岩田 建: "Spectrophotometry on the change in conformation of bacterial alphaーamylase characterized with 6M Urea" Starch/Starke. 43. 280-283 (1991)
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[Publications] 大西 正健: "酵素反応測定技術の進歩" 日本醸造協会誌. 86. 494-499 (1991)
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[Publications] 大西 正健: "Xylose isomeraseの分子構造と機能に関する研究ー四次構成形成と触媒活性,基質取り込みとの関係" 澱粉科学. 38. 327 (1991)
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[Publications] 大西 正健: "Effect of modification of tryptophan residue of Cyclodeーextrin glucanotransferase with Nーbromosuccinimide on the enzyme catalyzed hydrolysis of Soluble Starch and cyclomaltohexaose" Carbohydrate Research. (1992)