1992 Fiscal Year Annual Research Report
木材切削における工具-切屑-母材系温度のサーモグラフィ的研究
Project/Area Number |
03660173
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
奥村 正悟 京都大学, 農学部, 助教授 (40109046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 豊 京都大学, 農学部, 助手 (80226076)
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Keywords | 木材切削 / 切削温度 / サーモグラフィ / 切削型 / 摩擦温度 / 数値解析 |
Research Abstract |
木材切削における工具一切屑一被削母材から成る切削系の温度(切削温度)を明らかにするため、逃げ角5゚と10゚、すくい角20゚、40゚、60゚の組み合わせからなる工具で、切込み量を0.1〜0.5mmとして500mm/分でミズメの二次元縦切削を行い、工具、切屑、母材の側面の温度分布および温度の時間変化ををサーモグラフィ装置で測定した。また、物質移動を考慮した二次元非定常熱伝導基礎式を切削系に適用し、木材と工具の摩擦のみを熱源とした場合の、実用切削速度における工具刃先の温度上昇を数値解析によって求め、摩擦速度、工具材料、摩擦応力分布の影響を検討した。得られた主要な知見は以下の通りである。 1.工具温度は、切削開始直後に切削条件に応じた上昇を示した後、流れ型と縮み型では緩やかに上昇してから、刃先近くに中心をもつ同心円状の定常分布になったが、折れ型では切屑の破壊に対応した周期的な変動を示し、最高温度点もすくい面上を移動した。 2.切屑の温度は、流れ型と縮み型では長さ方向で比較的一様で、刃先からやや離れたすくい面との接触部に最高点が現れたが、折れ型ではすくい面と強く摩擦する、切屑の折損部のみが顕著な上昇を示した。とくに、縮み型ではいわゆるせん断面を境にして切屑の温度上昇が著しく、最高で30℃以上の温度上昇が観察された。 3.仕上面の温度上昇は流れ型と折れ型ではわずかであるが、縮み型では10℃近くに達し、とくに逃げ角が5゚以下の場合に顕著であった。 4.以上から、木材切削における切削温度は切削型ごとに特徴づけられること、縮み型の切削では金属切削の流れ型と同様の温度分布を示すことなどが明らかになった。しかし、横切削における切削温度、刃先摩耗と切削温度の関係などは今後の課題として残った。
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