1992 Fiscal Year Annual Research Report
化学伝達物質としてのウシラクトフェリンの機能とその構造ユニットの解明
Project/Area Number |
03660289
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
島崎 敬一 帯広畜産大学, 畜生学部 (10091547)
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Keywords | ラクトフェリン / Trypanosoma cruzi / 牛乳タンパク質 / フラグメント |
Research Abstract |
ラクトフェリンは分子量約80-KDaの糖蛋白質であり、大きさのほぼ等しいN-およびC-1obeの2つの部位から構成されている。このタンパク質分子は単球などの血球細胞と相互作用して化学伝達物質として機能する他に、ある種の微生物(例えばStaphylococcus aureus)や原虫(例えばTrypanosoma cruzi)などに特異的に結合する事が報告されており、生体防御機構の一端を担っているものと考えられる。そこで本年度はラクトフェリン分子を構成している構造ユニットの分離を行い、次いでラクトフェリンとそのフラグメントのTripanosoma cruziに対する結合能を蛍光ラベル法によって追究した。まず、ホロラクトフェリンについてトリプシンで限定分解を行なった。生成したフラグメントは、Sephadex G-100によるゲルろ過クロマトグラフィー、ついでDEAE-Sephadex A50およびCM-Toyopearl 650Mによるイオン交換クロマトグラフィーを行なって各成分を分離した。得られた主要な2つの成分の分子量をSDS-PAGEによって推定したところ、主に分子量50-KDaと30-KDaからなる画分と40-KDaからなる画分とに分れた。この40-KDaの成分についてNおよびC末端アミノ酸配列の解析を行っところ、C-末端側の構造ユニットすなわちC-lobeである事が確かめられた。さらにマウス脾臓およびマウス胎児線維芽細胞で培養したTripanosoma cruziのamastigoteについて、ラクトフェリンが結合性を示すことを確認した。さらに、鉄飽和度の異なるラクトフェリンについてそれらの結合能を比較したところ、なんら差は認められなかった。また、C-lobeのみでは結合性を示さず、N-lobe側が結合に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)