1991 Fiscal Year Annual Research Report
我が国におけるウシ免疫不全ウイルス(BIV)の浸潤調査とBIVの分離
Project/Area Number |
03660311
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小山 弘之 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (00072372)
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Keywords | BIV / レトロウイルス / レンチウイルス / PCR |
Research Abstract |
ウシ免疫不全ウイルス(BIV)はレトロウイルス科レンチウイルス亜科に属し、1972年米国において牛白血病ウイルスの研究中に分離された。他の国からのBIV分離報告もないし、その存在も不明であるが、最近米国においてBIV感染牛の存在が報告された。BIVはヒトのAIDS原因ウイルス(HIV)と同じ亜科に分類されるためその起病性や公衆衛生面からも研究の進展が望まれている。我が国でのBIV研究は我々の他に一大学でしか実施されていない。そのため我々の研究目的は(1)我が国の牛にBIV感染が存在するのか。(2)存在が確認されたならばそのウイルス分離と疫学を解明する。この2点とした。 得られた実験成果 1.米国から分与を受けたBIV標準株を日本産の牛胎仔初代培養細胞に感染させ間接蛍光抗体法によってBIV抗体陽性牛の検出を実施した。蛍光抗体手技の開発は(1)感受性細胞の検討、(2)蛍光標識抗ウシIgG(二次血清)のF(ab′)2部分を使用する。これらの検討による被検牛血清を2〜8倍希釈で抗体検査が可能となり著しく感度を上昇させた。 2.Polymerase chain reaction(PCR法)をBIVのプロウイルス検出に応用する手技を確立した。すなわち、BIVのgagとPolの2ケ所の遺伝子領域について被検牛のリンパ球DNA材料中のプロウイルスを証明することが可能となった。 3.現在までに2,000頭の牛についてBIV抗体の検出を実施した結果20頭の陽性牛が検出された。しかしこの牛のリンパ球が入手できないため、リンパ球DNA中のプロウイルス証明が実施されていない。よって現時点では我が国でのBIV感染牛の存在は判定不能である。 平成4年度では、今回の抗体陽性地区の牛について抗体検出と陽性牛のリンパ球DNAを用いたPCR法による証明とBIV分離を実施する。
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