1992 Fiscal Year Annual Research Report
我が国におけるウシ免疫不全ウイルス(BIV)の浸潤調査とBIVの分離
Project/Area Number |
03660311
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小山 弘之 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (00072372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝達 勉 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (00129264)
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Keywords | ウシ免疫不全ウイルス / Lentivirus / PCR / ウシ |
Research Abstract |
平成3年度はBovine immunodeficiency-like virus(BIV)の感染牛が日本に存在するか否かを調べるために、BIVに対する抗体陽性牛の検出を実施してきた。抗体陽性牛の検出は、BIV持続感染細胞(MDBK-BIV)のアセトン固定抗原を用い、被検血清は非特異反応を抑えるために1:100希釈とした。BIVを実験的に接種したウシでは約3週後から抗体出現(1:100)し、その後、1:1,600位に上昇した後、半年〜1年後で検出不能(<1:100)となる(著者らの米国での実験)。この現象を考慮すると、IFAを改良し、もっと低希釈血清での抗体検出が可能なシステムが要求される。 そこで、平成4年度はMDBK-BIV細胞と牛胎仔脾細胞(BESP)との混合培養を抗原とした。被検血清は1:8希釈を用い、FITC標識ヤギ抗ウシIgG(Fab2)血清を反応させた。この方法で非特異反応は抑制され抗体検出感度は上昇した。その結果、2,846頭のうち29頭(1.02%)が抗体陽性を示した。抗体陽性牛のうち4頭から末梢血を得ることができた。末梢血は一部のリンパ球を培養しBESPとの混合培養によって融合細胞が出現した。この細胞からDNAを抽出してpolymerase chain reaction(PCR)によってBIV proviral DNAの存在を証明した。これらの結果は、末梢血からBIVが分離されたことを強く示唆しているが、分離同定試験が今後必要である。平成3年度に開発したPCRは今年度更に改良を加え、Southern hybridizationも確実なものとした。これらの方法を用いて、抗原陽性牛4頭の末梢血リンパ球から抽出したDNAについてBIVのproviral DNAを証明した。以上の結果は、我が国にもBIVが存在することを強く示唆している。
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