1993 Fiscal Year Annual Research Report
消化管の組織形成と細胞分化に関する微細形態学的研究
Project/Area Number |
03670011
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 恵理 広島大学, 医学部, 助手 (70230141)
山本 正夫 広島大学, 医学部, 講師 (00109399)
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Keywords | 胃腸粘膜 / 組織形成 / 細胞分化 / 外分泌細胞 / 閉鎖結合 / ギャップ結合 / 粘膜防御 / 胃癌 |
Research Abstract |
胃腸粘膜の組織発生と細胞分化について、本年度は、正常胃粘膜の副細胞と主細胞の分化、および病的過程における細胞分化と細胞間結合について研究を行なった。 1.副細胞と主細胞の分化・成熟について、マウスの胃体粘膜を用いて超微形態の観察と分泌物の細胞化学的観察をおこなった結果、(1)副細胞は固有胃腺頚部の上方から下方に向って移動しながら成熟し、腺の頚・底移行部でほとんど全ての分泌顆粒を開口放出して小型の細胞になる(2)この細胞は、頚・底移行部で、より複合糖質の含有量の少ない分泌物を形成し、次いで開口放出により、ほとんど全ての分泌顆粒を失う。この過程を繰り返して、最終的には複合糖質を分泌しない主細胞になる(3)主細胞は腺の底部を上方から下方に移動しながら成熟することが、明らかにされた。 2.胃の表層粘液細胞は粘膜防御に働いている。私達は、胃潰瘍を繰り返す患者の胃粘膜の生検材料を用いて、細胞間結合を凍結割断法で観察した結果、再発性胃潰瘍患者では正常人に比べてギャップ結合の発達が著しく悪かった。これは、ギャップ結合による細胞間コミュニケーションの減弱が粘膜のホメオスターシス維持機構の破綻をきたし、胃潰瘍の発生につながることを示唆する。 3.Fisher系ラットにN-メチルニトロソウレアを投与すると胃癌が発生する。高分化型腺癌の場合には幽門部粘膜様の構造をとり、腫瘤の周辺部には副・幽門腺様細胞が分化する。中分化型腺癌の場合も腫瘤の周辺部はこの細胞で形成される。そして両者とも副・幽門腺様細胞の近くには、既存の、または新生された平滑筋束が見られる。胃粘膜の正常発生においても、腺管の先進部は副・幽門腺様細胞で構成され、平滑筋束に接していることを考えると、組織形成と細胞分化における両者の相互作用が示唆される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohkusa T,Yamamoto M,Kataoka K,Kyoi T,Ueda F,Fujimoto H,and Sasabe M.: "Electron microscopic study of intercellular junctions in human gastric mucosa with special reference to their relationship to gastric ulcer." Gut. 34. 86-89 (1993)
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[Publications] Chen Z-j;Suzaki,Etsuko;Morino-Kohno,Eri and Kataoka,Katsuko: "A histochemical study on glycoconjugates in epithelial cells in the distal colonic mucosa of adult and developing mice." Archives of Histology and Cytology. 56. 101-108 (1993)
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[Publications] 片岡勝子: "胃腸粘膜の外分泌細胞の分化と分泌物形成に関する組織細胞化学の応用"組織細胞化学 1993"(日本組織細胞化学会編)" 学際企画, 42-51 (1993)