1992 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の糖結合蛋白質に対するモノクローナル抗体作成
Project/Area Number |
03670013
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和佐野 公二郎 九州大学, 医学部, 助教授 (90117292)
|
Keywords | 糖結合蛋白 / モノサイト / 肺 / クララ細胞 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
平成4年度においては、前年度に確立したほ乳類の糖結合蛋白の分離精製法を駆使し、モノクロ抗体の作成努力と併せて、いち早くその組織内局在ひいてはその機能を知るため、ポリクロ抗体の作成に努力した。肺組織より抽出した67kDaに分子量をもつガラクトシドを認識する糖結合蛋白と肺末梢気道に存在するクララ細胞が分泌するマンノースを認識する糖結合蛋白に対して抗体の作成に成功した。この抗体を用い、平成4年度には、それぞれの蛋白の組織細胞内での局在を検討し、その機能を推測した。 1.67kDaガラクトシド結合蛋白(以下67-GBPと略す)は、エラスチンペプチドをも認識することから、弾性繊維の合成にあずかるのではないかと考えられている。よって、我々はエラスチン合成の盛んな周産期の肺内での同蛋白の局在その消長を観察した。この蛋白は生後7日に末梢気道下の結合組織内に現れる細胞に存在し、やがて肺成熟に従い、肺実質にびまん性に拡散、ついには、肺胞くう内に移行する明らかに遊走性の細胞の表面細胞膜上に存在する事が判明した。我々は、以上の知見と骨髄由来のモノサイトがその表面膜上にエラスチン受容体をもつとの報告を併せ考え、これら陽性細胞はおそらくモノサイトないしマクロファージ系の細胞であり、この67-GBP蛋白は細胞遊走時におけるある種のアンテナの働きをすると推定した。 2.次に、肺末梢気道のクララ細胞は複数のマンノース結合蛋白を合成分泌する。形態的にクララ細胞の分泌顆粒は多様性に富む。我々はこの点に注目、顆粒の多様性と分泌蛋白の関連について検索した。プローブとしては、収量の多い10kDaCCSPと呼ばれるクララ細胞特異蛋白を用いた。その結果、同細胞の顆粒はその種類により明かな染色密度の差を示した。この知見より、クララ細胞の顆粒の多様性は真にその中に含有される蛋白の量、濃縮度または蛋白の種類の差異を反映するとの結論にいたった。 3.以上の知見は既に、権威ある外国医学誌に発表された。
|
-
[Publications] Wasano K.Y.Hirakawa,K.Nakamura: "Immunolocalization of 67 kDa elastin-binding protein in perinatal rat lungs" Cell Tissue Research. 268. 277-281 (1992)
-
[Publications] Wasano K.,Y.Hirakawa: "Morphological heterogeneity of secretory granules of rat Clara cells:an immunocyto-chemical study" Histochemistry. 98. 165-171 (1992)