1992 Fiscal Year Annual Research Report
消化管粘膜防御機械の分子構造と免疫反応に関する発達学的検討
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03670510
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
豊田 茂 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90110931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 道代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90206433)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (50056909)
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Keywords | 蛋白代謝 / 遊離アミノ酸濃度 / 高分子蛋白の発育変動 / 空腸細胞 |
Research Abstract |
小腸細胞内における蛋白代謝の動的な平衡時期を推察するために、ラット単離小腸細胞内の遊離アミノ酸濃度と、高分子蛋白の発育変動を検討した。 生直後から離乳期、成熟期に致るSprague-Dawleyラットを6時間飢餓の後、全小腸を切除し細胞分離を行った。血清総蛋白量の年齢による変化は、ラットにおいてはヒトと同様に生後まもなく総蛋白質は低く、生後2週目頃より離乳期にかけて、急激に増加することが分った。成熟ラットにおいては、飢餓(24時間)の影響を見ると、血清アミノ酸は飢餓後低下するのに対し、小腸細胞内では一般に増加する傾向にあった。又、空腸と回腸における細胞内遊離アミノ酸濃度を比較すると、各アミノ酸濃度は空腸細胞の方が約2倍前後高値を示すものが多かった。しかしながら、トリプトファン、プロリン、シスチン、タウリン、アスパラギン及びアルギニンなどは、ほぼ同様の値を示していた。加齢による血清と小腸内のアミノ酸濃度をみると生直後、遊離アミノ酸は高く、離乳期に近づくに従って成熟域と同程度となっている。次に成熟ラットの空腸と回腸の上皮細胞内における分子量25以上の蛋白を、SDS-PAGEで比較検討すると、各分画に質的な差異はほとんど認められなかった。 以上の結果よりラットの小腸細胞内の蛋白代謝プールは、空腸の方が回腸に比して、大きいことが明らかとなった。又、細胞内のアミノグラムは、血清のものと類似しており、さらに発育変動をみても同様の増減を示すことから、両者の間には遊離アミノ酸の平衡に関して密接な関係が存在するものと思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Urashima M.,Toyoda S.,Nakano T.,Matsuda S.,Maekawa K.: "BUN/Cr ratio as an index of gastrointestinal bleeding mass in children." J.Pediatr.Gastrenterol.Nutr.15. 89-92 (1992)
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[Publications] 豊田 茂: "小児難病の診断と扱い方:難治性下痢" 小児科診療. 55. 2253-2258 (1992)
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[Publications] 豊田 茂: "小児の治療指針:消化管出血" 小児科診療. 55. 344-346 (1992)
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[Publications] 豊田 茂: "食物アレルギーと消化管粘膜防御-より充実した食生活への警鐘-" 免疫薬理. 10. 70 (1992)
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[Publications] 豊田 茂: "C型肝炎の垂直感染" スポット小児科医. 6. 5-6 (1992)
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[Publications] 豊田 茂: "最先端の知識から実地臨床へ、食物アレルギーと消化管免疫" 医薬の門. 32. 496-501 (1992)