1992 Fiscal Year Annual Research Report
代用血管移植における吻合部内膜肥厚の発生機序と予防に関する研究
Project/Area Number |
03670575
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (70170636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 教授 (60125359)
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Keywords | 代用血管 / 移植 / 血行再建 / 内膜肥厚 / 組織適合性 |
Research Abstract |
代用血管移植後の遠隔期における狭窄や閉塞の最も大きな原因と考えられる吻合部内膜肥厚の発生機序を明らかにし、これを防止するための対策を検討するため、小口径人工血管の移植実験を行った。内膜肥厚を発生させるモデル実験として、口径3mmの線維長の異なるEPTFE人工血管、ポリウレタン人工血管、自家静脈片を雑種成犬の頸動脈に移植するとともに肥厚の発生程度と時期、組織適合性(器質化特性)、肥厚内膜の組織学的検討(光顕及び電顕的検索)を行い予防法確立のための諸条件を検討した。結果:明らかな吻合部肥厚は端々吻合では6%(3/53)に発生し、その進展様式は宿主血管より人工血管に向うパンヌスと吻合部宿主血管中膜の平滑筋細胞増殖が進行するものとが認められた。組織適合性の低い人工血管ほどパンヌス形成が促進する傾向があり、人工血管の材質や構造による血液適合性、組織適合性とパンヌス形成とが密接に関連していることが示唆された。物性の不適合と肥厚とは直接結び付けられる点は認めなかった。しかし宿主動脈側中膜の肥厚は低コンプライアンス人工血管に発生する傾向は認められた。端側吻合部では内膜肥厚は吻合部heal側より発生しグラフト中枢側に向う内皮細胞様細胞の増殖として観察され、その発生率は33%(12/36)であり血流異常(渦流及びShear Stressの増大)の影響が示唆された。発生機序を要約すると、1.組織適合性の欠如、2.物性的不適合、3.血流異常、4.内皮細胞障害、5.血小板沈着が基本となり、その相互作用の結果として内膜肥厚が発生すると結論付けられた。予防法として移植後抗血小板剤KC764投与群では早期開存成績の向上は認められ、肥厚進展を軽減する傾向を認めた。抗血小板剤が内膜肥厚防止に積極的役割を荷っている可能性が示唆された。結論:吻合部内膜肥厚は人工血管と生体とのinteractionの結果であり、その各因子を明らかにして予防法の可能性が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐久間 まこと 他: "新しい人工血管の開発" 脈管学. 32. 209-214 (1992)
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[Publications] 佐久間 まこと 他: "人工血管" 人工臓器. 20. 1480-1489 (1991)
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[Publications] 佐久間 まこと 他: "血行再建とプロスタグランジン" クリニカ. 18. 288-292 (1991)