1993 Fiscal Year Annual Research Report
能動免疫による特異的T細胞養子免疫療法のための前駆細胞の検討
Project/Area Number |
03670613
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
正木 忠彦 東京大学, 医学部(病), 助手 (30238894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 泰彦 東京大学, 医学部(病), 医員
佐野 武 東京大学, 医学部(病), 助手 (30215884)
名川 弘一 東京大学, 医学部(病), 講師 (80228064)
小堀 鴎一郎 東京大学, 医学部(病), 助教授 (30110696)
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Keywords | tumor draining / 養子免疫 / 細胞障害性試験 / インターロイキン2 / インターフェロンガンマ / サイトカイン / T細胞 |
Research Abstract |
悪性腫瘍の所属リンパ節より得られたtumor-draining lymphocyte(TDL)は、in vitroでの適当な処理により特異的抗腫瘍活性を獲得し、養子免疫に利用可能となる。我々は、マウスTDLをin vitroで抗CD3抗体(2C11)とrecombinant interleukin-2(rIL-2)で培養し、微小肺転移および肝転移作成マウスに養子免疫療法を行い、LAK療法と比較検討した。肺転移モデルでは、未治療群では全例、LAK療法群では一例を除き全例で肉眼的に250個以上の肺転移巣を認めたが、TDL治療群では転移巣は全て消失し著名な抗腫瘍効果を発揮した。肝転移モデルでも有効であった。一方、活性化TDLは90%以上CD3(+)で,CD8(+)優位で、細胞障害活性はLAK細胞がすべての標的細胞に対し弱い細胞障害性を示したのに対し、活性化TDLは全く細胞障害活性を示さなかった。つまり、in vitro、in vivoの結果に解離が見られ、in vitroでのcytotoxicityは、必ずしもin vivoでの抗腫瘍効果を反映しないことが示された。次に、in vivoでの抗腫瘍効果発現のためには、移入細胞の直接的な細胞障害のみならず、むしろ二次的に喚起されるcytokine群の役割が重要と考え、TDLをin vitroにおいて、腫瘍細胞で刺激し、上清中のサイトカイン濃度を測定した。TDLは、自己腫瘍の刺激で特異的にIFN-γを産生し、rIL-2で強く増強された。TNF-αの産生は認められなかった。これまで解明されているIFN-γの腫瘍細胞対する効果の知見と考えあわせると、養子免疫療法における移入リンパ球のin vivoでの効果発現においても、IFN-γ等のサイトカインがmediatorとして、深く関与しているものと考えられる。
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