1992 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制遺伝子(P53)の発現異常からみた大腸がんおよび腺腫の悪性度に関する研究
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03670624
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY(MEDICAL SCHOOL) |
Principal Investigator |
島野 高志 大阪大学, 医学部, 講師 (80144476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 力 大阪大学, 医学部, 助手 (80236471)
門田 卓士 大阪大学, 医学部, 助手 (20174477)
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Keywords | がん抑制遺伝子 / p53 / 免疫組織化学 / 大腸がん / 大腸腺腫 / PCR / LOH |
Research Abstract |
外科的に切除された進行大腸がん119例と、内視鏡的に切除された大腸ポリープ239個におけるp53発現を免疫組織学的に調べた。これらの標本をマイクロウエーブ照射によって迅速固定したのち、そのパラフィン切片に対してPAb1801を一次抗体とするABC法をおこなったところ、進行癌では72例(60.5%)、腺腫内がんのがん巣では28個(82.4%)でがん細胞の核内にp53が検出された。がんを内包しない良性の腺腫では、陽性率は低く、191個中31個(16.2%)でごく一部の腺管に限局した発現がみられたのみである。臨床病理学的事項からみると、肝転移をともなう進行がん例でp53陽性率が高くなっているほかは、とくに組織型や深達度などのパラメーターと相関性をみとめなかった。また、良性腺腫内に発現するp53陽性腺管は、構造異型の面では周囲の陰性腺管と差異をみとめなかったが、個々の細胞の核面積をcomputerで算出してみると、核に膨化傾向のあることがしめされた。一方、最近大腸のがん好発病変として注目されている扁平隆起を21個収集してp53の発現を調べたところ、がんを内包した扁平隆起では10個中7個(70.0%)、腺腫と診断された扁平隆起では11個中2個(18.0%)にp53の発現がみられ、その頻度は一般のがんおよび腺腫での発現頻度と類似していた。組織切片よりDNAを回収してp53遺伝子の3'flanking region 90bpをPCR増幅し、LOHを検索する実験では、最低200μm^2の微小切片からのDNAを増幅して検討可能であることが分かり、現在までのところ、免疫染色の結果とLOHの検討結果はたいへん良好な一致をしめしている。
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[Publications] Shimaya,K.: "Significance of p53 expression as a prognostic factor in oesophageal squamous cell carcinomas." Virchow Arch Pathol A,in press.
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[Publications] Monden,T.: "A comparative immunohistochemical study of p53 and proliferating-cell nuclear antigen expression in microwave-fixed paraffin sections of colorectal tumors." Int J Oncology. 1. 773-778 (1992)
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[Publications] Monden,T.: "A comparative immunohistochemical study of p53 and heat shock protein expression in microwave-fixed,paraffin-embedded sections of colorectal tumors." Acta Histochem Cytochem.25(5). 581-588 (1992)
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[Publications] Kawasaki,Y.: "Immunohistochemical study of p53 expression in microwave-fixed,paraffin-embedded sections of colorectal carcinoma and adenoma." Am J Clin Pathol.,97:244-249,1992.97. 244-249 (1992)
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[Publications] 門田 卓士: "in situ hybridizationと疾患:癌遺伝子・癌抑制遺伝子発現とin situ hybridization." 最新医学. 47(10). 1973-1981 (1992)
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[Publications] 森元 秀起: "Microwave固定法を用いたin situ hybridization." 病理と臨床. 10(6). 697-704 (1992)
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[Publications] 森元 秀起: "腫瘍マーカー最近の進歩" (中外医学社), 163 (1992)
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[Publications] 中西 弘幸: "腫瘍マーカー研究会記録" 蟹書房, (1992)