1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670763
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 清巳 日本大学, 医学部, 教授 (70059301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 忠男 日本大学, 医学部, 講師 (80139146)
清滝 修二 日本大学, 医学部, 講師 (70102506)
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Keywords | Lewis抗原 / 免疫組織化学 / 腎細胞癌 / 腎組織 |
Research Abstract |
細胞表面には糖鎖抗原が存在しており、種々の疾患でその発現頻度が変化することが確認されている。代表的なものに血液型抗原があり、ABO型に関しては組織学的検索がなされてきた。また、血液抗原の一つであるLewis抗原はその側鎖より、a,b,x,yの4系に分けられ、これと尿路悪性腫瘍との関係が研究されてきている。われわれは腎組織におけるLewis抗原の局在につき観察した。 手術時に得られた正常腎組織および各gradeの腎細胞癌組織を用いた得られた組織はただちに凍結切片を作製した。同時に10%ホルマリンにて固定し、パラフィン包埋後、6μmの切片を作製した。これらを内因性ペルオキシダ-ゼを処理するため0.3%過酸化水素による処理を行っている。ついで1次抗体としてLewisモノクロ-ナル抗体を反応させ、2次抗体としてアビチン、ビオチン反応を行って検鏡した。 結果として、クライオスタット標本およびホルマリン固定にて同様の染色体を得ることができた。正常腎組織においてはLewisーaは30例中3例に陽性、Lewisーyは1例のみであった。いずれも陽性反応は尿細管上皮にみられたが染色は軽度であった。一方、Lewisーbは43例中23例、Lewisーxは43例中30例に陽性反応を認めた。その局在は近位尿細管上皮に特異的に陽性反応がみられ、他にはみられなかった。これらの染色性を強弱に分けてみると、高染色性では分泌型が多く、非分泌型では低染色性ないしは蔭性であり、このことからも組織中のLewis抗原は分泌、非分泌に大きく影響されていることが判明した。次に、癌組織26例を検討した。これらは分泌型、非分泌型を問わず一様に染色されなかった。すなわち、悪性化による組織のLewis抗原は形成されないか、または消失したものと考えた。
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