1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670763
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Research Institution | Nihon University School of Medicine |
Principal Investigator |
岡田 清己 日本大学, 医学部, 教授 (70059301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 忠男 日本大学, 医学部, 講師 (80139146)
清滝 修二 日本大学, 医学部, 講師 (70102506)
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Keywords | ルイス抗原 / 腎細胞癌 / 膀胱腫瘍 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
細胞表面には糖鎖抗原が存在し、種々の臓器に存在している。その意義は明らかではないが、種々の疾患でその発現頻度が変化することが知られている。今回泌尿器系の悪性腫瘍において、ルイス抗原がどのように変化するかを免疫組織化学的に観察した。 手術時に得られた腎および膀胱組織をただちにホルマリンにて固定した。これらの組織は各異型度の異なる悪性腫瘍の組織である。1次抗体としてのルイスモノクローナル抗体(a,b,x,y)を反応させ、2次抗体としてのABC法(アビチン・ビオチン)を行って検鏡した。 腎組織では正常例にてはルイス-a,yは少数例に陽性であったが、ルイス-bおよびルイス-xでは半数以上に陽性所見が得られた。しかし,癌ではルイス抗体は1例も陽性にはならなかった。つぎに、電顕的免疫組織化学にて、ルイス-xの微細構造上の局在を観察した。方法は光顕組織と同様であるが、1次抗体反応、2次抗体反応後にオスミウム固定し、エポン包埋してから超薄切片を作製して電顕的観察を行った。その結果、ルイス-xは近位尿細管の微絨毛に存在していることが明らかとなった。また、腎細胞癌に出現する少数の微絨毛を観察したがルイス-xは陰性であった。このことは、癌化により、微絨毛が形態的機能的な変化も加わっているものと考えた。一方、膀胱では正常の移行上皮ではすべてのルイス抗原が存在した。しかし、移行上皮癌ではルイス-a,bはやや減少したが、ルイス-xは強陽性を示し、ルイス-yは陰性となった。その局在としてはルイス-bにおいて細胞質内にも認められ、これは細胞膜の陥入による取込みの部分としての小胞に相当する部位であった。以上より、膀胱の癌化に伴い、多くは減少、消失するがルイス-xが存在することより、膀胱癌の細胞膜には正常に近い機能が残っているものと推定した。
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