1991 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜上皮化生との関連からみた子宮内膜癌の病理発生の解明に関する研究
Project/Area Number |
03670792
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加来 恒壽 九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 講師 (30152870)
塚本 直樹 九州大学, 医学部, 助教授 (30038830)
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Keywords | 子宮内膜癌 / 子宮内膜上皮化生 / 子宮内膜増殖症 / 病理発生 / 脈管侵襲 / 分化度 / 筋層浸潤 |
Research Abstract |
子宮内膜上皮化生の有無および範囲を当科で収集した子宮体癒と内膜増殖症症例について、その組織型、分化度、浸潤の深さ、脈管侵襲の有無などとの関連において検討した。化生は子宮内膜増殖症で80%、子宮体癌で62%と高頻度に出現していた。体癒66例中41例(62%)に1種あるいは2種以上の化生が認められた。化生陽性群は、化生陰性群に比して年令が若く、同時に存在する体癌は、より高分化で、筋層浸潤が少なく、骨盤リンパ節転移の頻度が低かった。また化生陽性群では内膜増殖症の存在する頻度が有手に高かった。(P<0.05)。また当科と米国ジョ-ジ・ワシント紳大学で晶断された各々61例、41例の体癌についてその周囲の内膜における化生の発現について比較検討した。本邦群は国国群に比べて化生の出現頻度が有意に低く、隣接する体癌は高分化型が少なかったことから、日米で体癌の発生田地に差異があることが示唆された。腫癌と間質との関の関連を見るため、細胞骨格の重要な成分であるαーアクチン染色を行なった。腫瘍周囲の間質浸潤部では間質組織のαーアクチン発現は低下していた。体癌95例のうちHE染色で34例、VMF染色で15例、血液型染色で17例に脈管侵襲陽性と診断した。各染色で得られた脈管侵襲の有無と予後との関連を多変量解析で分析すると、VWF染色で判定した脈管侵襲の有無のみが有意に予後と相関(P<0.05)していた。またVWF染色による検討から化生陽性群では脈管侵襲陰性の症例が有意に多いことが明らかとなった(P<0.05)。
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