1992 Fiscal Year Annual Research Report
血流量測定による歯髄炎とその周囲組織の炎症に関する病態診断法の確立
Project/Area Number |
03670886
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10125560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗和田 しづ子 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60225274)
三條 大助 東北大学, 歯学部・附属病院, 教授 (70013943)
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Keywords | レーザードプラー血流計 / 歯根膜の血流 / 炎症波及 / ヒスタミン |
Research Abstract |
歯髄と歯周組織は相互に密接な関係にあり、歯髄の病変は歯周組織へ、また歯周組織の病変は歯髄へ波及する。両組織間の炎症波及については病理組織学的見地から既に多くの報告がなされているが、これらの報告は、一方の組織の病変が慢性的に高度に進行したときの炎症波及を組織変化として考察したものが多く、しかもそのメカニズムについては言及されていない。今回我々は、炎症のケミカルメディエーターであるヒスタミンをトレーサーとして用い、組織の血管拡張反応を検索することにより炎症波及の経路およびそのメカニズムを解明する方法について検討を行った。今年度は、歯髄と歯周組織間の接点をなす根尖部歯根膜に着目し、ヒスタミンを露髄面および歯肉溝に貼付したときの根尖部歯根膜の血管拡張反応について検討した。この結果、 1.血流測定を行っている歯根膜に直接ヒスタミンを貼付すると、歯根膜血流は約2倍に増加し、貼付部位をリンゲル液で洗浄することにより、血流は速やかに初期血流値に復帰した。 2.歯肉溝または露髄面にヒスタミンを貼付すると、いずれの場合にも歯根膜血流は増加し、貼付部位をリンゲル液で洗浄しても血流の増加状態は変化しなかった。 以上の結果、ヒスタミンを用いて組織間の血管拡張反応を検索する方法は、炎症波及の経路を解明する方法として有効と考えられた。また、歯肉溝または露髄面にヒスタミンを貼付することにより歯根膜の血管拡張が生じることから、歯髄および歯周組織の炎症の波及に際し、根尖部歯根膜が重要な役割を果たすことが示唆された。
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[Publications] T.Sasano: "Acute besponse of periodontal ligament blood flow to external force application" Journel of Periodontal Research. 27. 301-304 (1992)
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[Publications] 笹野 高嗣: "歯根膜の血流動態の関する研究 (第1報)歯に加えた外力に対する歯根膜血流の変化" 日本歯科保存学雑誌. 35. 822-827 (1992)
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[Publications] 笹野 高嗣: "歯根膜の血流動態の関する研究 (第2報)露髄面および歯肉溝に貼布したヒスタミンの影響" 日本歯科保存学雑誌.