1992 Fiscal Year Annual Research Report
活性型ビタミンD3投与がセメント質発生に与える影響に関する組織化学的研究
Project/Area Number |
03670887
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
庄司 茂 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (10142986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 良平 東北大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20204000)
塚田 甲 東北大学, 歯学部, 助手 (90207332)
堀内 博 東北大学, 歯学部, 教授 (00013962)
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Keywords | 活性型ビタミンD3 / セメント質形成 / アルカリフォスファターゼ / カルシウム / 無機リン |
Research Abstract |
歯周外科手術後の審美的問題は、未だ有効な改善策は見いだされず、患者に不満が残っているのが現状である。この原因としては、手術後に歯根表面で生じる上皮細胞の深行増殖速度が、セメント芽細胞の新生速度を上回る為と考えられている。そこで、骨芽細胞の石灰化に大きな影響を与えている、活性型ビタミンD3(VD3)が、セメント芽細胞の分化さらにはセメント質形成に対し、どの様な役割を果たしているかを知るために、以下の実験を行った。 〈実験方法〉今年度は、実験例数特に生後5、7、9日目の例数を増やすことを重点とした。生後3日目のウイスター系ラット、プロピレングリコールに溶解したVD3を250ng/kgの量で12日間腹腔内に連続投与し、生後5、7、9、11、13、15日目にヘパリン注射後、左心室尖より採血しついで通法に従って、顎骨内歯胚の病理組織および酵素組織化学的標本を作成し検鏡した。特に、アルカリホスファターゼ(ALPase)染色は、β-glycerophosphateを基質としたクエン酸鉛法による透過電子顕微鏡観察を行った。また、顎骨および後肢の変化をレントゲン的に観察した。採血して得られた血清内のCa,P,ALP量も併せて測定した。 〈結果〉体重変化は、無処置のものとプロピレングリコール単独投与の間に体重増加の差は認められなかったが、VD3投与したものでは明らかに体重増加が抑制された。顎骨および後肢の成長に対するレントゲン観察では、体重と同様にVD3投与により抑制された。血清中のCa量は、VD3投与により倍近い増加を示したが、無機リン量は体重同様抑制され、ALPaseもVD3投与により低い値を示した。病理組織学的観察により、VD3投与により歯根形成が抑制が見られた。酵素組織化学染色でのALP反応がVD3投与により減少し、しかもセメント質形質も遅延していた。今後、VD3レセプターをセメント芽細胞に見いだせれば、歯周外科後のセメント質形成を誘導することの可能性がでてくると思われる。
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