1992 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜面に対する維持力を強化した義歯床レジン開発に関する研究
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03670922
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山賀 谷一郎 明海大学, 歯学部, 助手 (90049403)
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Keywords | 義歯床 / 維持 / 親水性シリコーンゴム印象材 / 親水性義歯床用レジン / 離脱力 / 無歯顎の粘膜 / 顎模型 / 板状試片 |
Research Abstract |
現在まで、義歯床の維持に関する多くの研究は、条件の一定しない口腔内で行われてきた。これに対して、もし条件の一定する模型上で離脱力の測定ができれば、義歯の維持について歯科材料学的に考察することが可能になると考える。 この目的のために、無歯顎の粘膜をシリコーンゴム印象材で模倣した顎模型の最も単純化した板状試片の作製は、超硬石こうを用いて縦40、横40、高さ15mmの立方体を作り、この上面に縦30、横30、深さ5mmの窪みを掘り、この中にシリコーンゴム印象材(インジェクションタイプ)を練和、注入し、この上にガラス板をのせて硬化させて板状試片とした。このとき従来から使用されている疎水性のシリコーンゴム印象材と、最近出現した親水性のシリコーンゴム印象材の2種類を使用した。そして全部床義歯の最も単純化した板状試片の作製は、加熱重合型義歯床用レジンを常法に従い湿熱重合し、縦20、横20、高さ6mmに形成して板状試片とした。このとき従来から使用されている疎水性の義歯床用レジンと、親水性の義歯床用レジンの2種類を使用した。 今回行った離脱力の測定法方は、無歯顎の粘膜を模倣したシリコーンゴム印象材の上に人工唾液を静かに置き、この上に床用レジンで作製した板状試片をのせ、さらにこの上から1Kgの荷重を2分間加えた後、2つの板状試片を垂直に引き離すのに必要な力を測定して離脱力とした。 この離脱力を測定した結果、親水性義歯床用レジンの方が疎水性義歯床用レジンより大きな離脱力の値を示したことから、義歯の維持力は親水性床用レジンの方が大きい材料だと考えられる。 以上のことから、無歯顎の粘膜を親水性シリコーンゴム印象材で模倣することにより、模型上でも義歯の離脱力を測定することが可能ではないかと考える。
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