1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670978
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石川 富士郎 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20048250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金野 吉晃 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (10169972)
八木 實 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (40112601)
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Keywords | 矯正治療 / 咬合の安定 / 下顎運動 / 咀嚼筋 |
Research Abstract |
矯正治療後の咬合は,形態的,機能的に安定した状態で維持されることが求められている。しかし臨床上,後戻りなどの変化を生じる場合もあることが知られているおり、その原因の多くは,移動した歯の歯槽骨内における安定性の関与が大きいなど,従来,歯周組織を中心として考察されている。しかし,歯は咀嚼運動によって対合歯や隣接歯から負荷を受けて機能しており,本研究は機能的な面からの安定性について主として上下顎の歯の接触関係と下顎運動の両面から検討を行った。本年度は矯正治療の経験がなく臨床的に正常咬合を有する歯齢IVA以降の男女7名の資料採得して検討した。研究方法は,歯の接触関係については,歯牙接触分析装置(TーScan:テクノスキャン社製)を用いて接触部位と咬合力を記録し,同時に下顎運動および咀嚼筋の活動性については,K6ーI(マイオトロニクス社製)を用いて切歯部における運動路を記録し,咬筋,側頭筋の筋電図を採得し咀嚼筋の活動性を検討した。結果は,閉口時に最初の接触点から最後の接触点までに要した総所用時間は平均0、74秒であった。また,全例とも閉口時の上下顎の歯の接触点は左右均一ではなくわずかながら偏りが認められた。すなわち,右側が4例、左側が3例であった。咀嚼筋の活動性は,TーScanを用いた咬合力分析で3秒間噛みしめを行った時の咀嚼筋の活動量をK6ーIで記録した。その中の咬筋に関しては,閉口時右側偏位例の筋活動量は,右側で平均179μV,左側が160μVであり,左側偏位例では左側で159μV,右側で140μVであった。したがって,閉口時の上下顎歯列の接触面積と咀嚼筋,特に咬筋の筋活動量とに関連性が強いことが伺われた。このことから,矯正治療後の咬合の安定を計るためには,左右側において上下顎歯列の均一なる接触と筋活動量が必要であることが示唆された。
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