1992 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤による消化器障害に対するビタミンAの防御効果の基礎的解析
Project/Area Number |
03671067
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
堀江 利治 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90120154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 荘司 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60012621)
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Keywords | ビタミンA / メトトレキサート / 消化器障害 / 腸管吸収 / 小腸クリプト細胞 / 小腸培養細胞IEC-6 / 細胞培養 / L-ロイシン |
Research Abstract |
平成4年度研究実施計画は次の3項目、(I)ビタミンAの防御機構:細胞新生の場である小腸クリプト細胞へのビタミンAの影響の検討、(II)腸管吸収の改善:アミノ酸の吸収について、(III)MTXの抗癌作用に対するビタミンAの影響、を予定した。研究計画(I):小腸クリプト細胞(ラット由来小腸培養細胞IEC-6)の培養が比較的難しかったが、確立したIEC-6培養系でMTXおよびビタミンAの効果を調べ、次の結果を得た。 1エタノールを含む生理食塩水、MTX、MTX+ビタミンA、およびビタミンAを添加し、経時的にクリプト細胞数を測定し、細胞増殖への影響を調べたところ、いずれにおいても濃度および時間に依存して細胞数の増加は顕著に抑制された。2ビタミンAを24時間前に添加し、MTXを作用させた場合にも細胞数の増加は抑制された。3レチノールのアルデヒド型誘導体all-transレチナールを用いて上記と同様の実験を行ったが、同様に細胞数の増加は抑制された。培養したIEC-6と小腸クリプト細胞の類似性は指摘されてはいるが、本研究で明らかにされているin vivoでのビタミンAの防御効果の機構解明の手段としてIEC-6は必ずしも適しているとは言い難いとの結論に達した。 研究計画(II):次の4つの薬物処置を行ったラット群:(1)対照群(生理食塩水投与),(2)MTX投与群,(3)MTXとビタミンA併用群,(4)ビタミンA投与群について、必須アミノ酸L-ロイシンの腸管吸収を検討し、次の知見を得た:ラット摘出反転腸管でL-ロイシンの透過性を調べたところ、MTX投与群での透過性は対照群より顕著に低下した。MTXとビタミンA併用群およびビタミンA投与群では対照群に近い透過性を示した。ビタミンAの併用により吸収障害が防御されことがL-ロイシンについても明らかとなった。 研究計画(III)については現在準備段階にある。
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