1992 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス性疾患の感染初期パラメータとしての可溶性アミノペプチダーゼの研究
Project/Area Number |
03671107
|
Research Institution | Hamamatsu University, School of Medicine. |
Principal Investigator |
菅野 剛史 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70051406)
|
Keywords | 可溶性アミノペプチダーゼ / アミノペプチダーゼ / ウィルス性疾患 |
Research Abstract |
ウィルス感染症の初期パラメータとして、血清中の可溶性アミノペプチダーゼ(c-AP)の活性の変動を検索した。麻疹43例、風疹38例、伝染性紅斑6例、ウィルス性の下痢症5例での観察では、大部分の症例でc-APの明かな上昇が観察され、同時に乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)の活性上昇と、アイソエンザイム分画では、LD-2およびLD-3の上昇が観察された。また、上昇の程度は、麻疹が最も高く、風疹、伝染性紅斑が続いた。さらに、マイコプラズマ肺炎でもこのc-APの上昇が観察された。これらの血清酵素の変化は、ウィルス感染により活性化されたリンパ球に由来する酵素活性の変動と考えられ、ウィルス感染初期の情報として有用なものであることが示された。しかし、インフルエンザなどのようにc-APの上昇の認められないウィルス性疾患も存在し、今後の問題を残している。 また、本研究で示されたように、このc-APの変動はリンパ球でもT細胞に特異的な反応であることから、感染の標的となるリンパ球の差による現象であれば興味ある所見となる。今後、培養細胞でのウィルス感染を含めたin vitroの実験などで確認される必要のある現象である。結論として、麻疹、風疹などの一部のウィルス感染症の初期パラメータとしてc-APが有用であることが示された。また、この初期の変動はA型肝炎の患者で、肝酵素の変動が認められる前にも観察され、ウィルス感染症に対して、リンパ球の反応を示す所見であると考えられた。
|
-
[Publications] 菅野 剛史: "可溶性アミノペプチダーゼ、" Medical Practice,. 8. 435-454 (1991)
-
[Publications] Azuma Y.,Sugaya N.,Ikeda N.and Kanno T.: "Elevation of cytosolic aminopeptidase in patients with viral infection," 臨床化学、. 20. 1-6 (1991)
-
[Publications] Azuma Y.,Maekawa M.,Kubo M.and Kanno T.:"Two cases of cytosol aminopeptidase-immunoglobulin comples" Clin.Chem.,. 37. 1132- (1991)
-
[Publications] 菅野 剛史: "ウィルス感染初期パラメータとしての可溶性アミノペプチダーゼ" 病態生理、. 11. 957-958 (1992)
-
[Publications] Kanno T.,Maekawa M.and Yonekawa O.:"Increase of cytosolic aminopeptidase as a early maker for viral infection." Clin.Chemistry. 39. (1993)