1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03671117
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川端 真人 日本大学, 医学部, 講師 (30175294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 稔 日本大学, 医学部, 助教授 (30130420)
龍 順之助 日本大学, 医学部, 講師 (30096854)
馬場 俊一 日本大学, 医学部, 講師 (30102479)
荒島 康友 日本大学, 医学部, 助手 (10167231)
河野 均也 日本大学, 医学部, 教授 (60059368)
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Keywords | ライム病 / Borrelia burgdorferi / 遊走性紅斑 / 輸入感染症 / 不顕性感染 / PCR / ゲノタイプ |
Research Abstract |
平成3年度は日本のライム病疫学調査の継続と新たに分子生物学的手法を応用した日本産ボレリアの遺伝子構造の解析に着手した。疫学調査では従来の血清疫学調査から日本の疫学像の解明を試み、これまでに5例の輸入ライム病を確認した。また、日本産マダニから分離されたボレリアの表層蛋白0spAとBの遺伝子領域の塩基配列を解析し、日本産ボレリアのゲノタイプを検討した。 1.日本のライム病臨床像:ライム病と診断した33例の臨床像を検討した。遊走性紅斑は73%に出現するものの、髄膜炎が1例、二次性環状紅斑が2例と第二期以降に進行する例が少ない。また、不顕性感染が21%と欧米と比較して高く、日本のライム病は続発症への進行が少ない、軽症型のライム病である。 2.輸入ライム病の症例:これまでにアメリカ合衆国・スイスなど海外で感染した5例のライム病を経験した。海外から持ち込まれたボレリアがわが国に土着するか否かは疑問であるが、今後も注意が必要である。 3.北海道狩猟者のアンケート調査:587名の北海道在住ハンターを対象にアンケートによるマダニ刺咬傷および随伴症状を調査した。回収された308例中、210例にマダニ刺咬傷の既往があった。対象者のボレリア抗体陽性率は16%であった。皮膚症状は33例、関節症状は23例にみられたが、抗体陽性との関連は少なく不顕性感染が多いと推測される。 4.PCRによるボレリア検出:アメリカ合衆国標準株B‐31ボレリアの表層蛋白およびフラジェラム蛋白領域をモデルに三組プライマーを作製し、日本産ボレリアの遺伝子をPCRで増幅を試みた。フラジェラムセットに対しては全ての日本産ボレリア株は反応するが、表層蛋白セットに対しては反応する株としない株がみられた。 5.日本産ボレリアのゲノタイプ:日本産ボレリアの表層蛋白0spAにはLとSに二種のタイプがある。L‐タイプとアメリカ合衆国標準株とのホモロジーは塩基配列で80%・アミノ酸配列で70%、S‐タイプではそれぞれ50%・20%であった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kubo,N. et al: "Seroepidemiological study on Lyme borreliosis in Japan" Nihon Univ.J.Med.34. 127-136 (1992)
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[Publications] Kubo,N. et al: "Questionnaire surueys of cases of tick bite and Lyme borreliasis in huuters in Hokkaido with reference to detectiun of anti-B.b antibody." Internal Medicine. 31. 1163-1168 (1992)