1991 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞受容体δ鎖遺伝子再構成を利用した急性リンパ性白血病の微小残存病変の検出
Project/Area Number |
03671195
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横田 昇平 京都府立医科大学, 医学部・第3内科, 助手 (80231687)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 信一 京都府立医科大学, 医学部・第3内科, 講師 (40117908)
|
Keywords | 急性白血病 / 微小残存病変 / PCR / T細胞受容体遺伝子 / 免疫グロブリン重鎖遺伝子 |
Research Abstract |
当初、症例の集積は、京都府立医科大学付属病院およびその関連施設から行う予定であった。計画を進める過程で小児癌白血病研究グル-プ(CCLSG、愛知医大小児科藤本孟男教授主宰)の協力を得られることになり、CCLSG登録症例について微小残存病変(MRD)の検索を行うこととした。これによりドイツBFM study groupで横田が検討してきたのと同様、集学的に治療を受けている患者でのMRDの推移を検討できることになった。 平成3年1月から症例集積を開始し、平成4年3月8日までに75例の初診時検体がセンタ-(当科)で分析された。スクリ-ニングはTCRδプロ-ブ(Jδs16)を用いたサザンブロット法もしくはPCR法で行い、30例(40%)でVδ1ーDーJδ1、Vδ2ーDーJδ1、Vδ2ーDδ3再構成を確認した。 この結果を逐一各施設の主治医に報告し、CR到達した症例の骨髄、末梢血のサンプリングを定期的に行ってもらい、PCR増幅によるMRD分析を行った。症例集積を開始してから1年が経過したばかりで、治療直後の検討しかなされていないが、完全寛解に達した14例中5例で寛解時骨髄DNAに10^<-3>〜10^<-5>のMRDを検出した。注目すべき点は診断後6カ月以内に検索した13例中5例,3カ月以内に検索した8例中4例で骨髄MRDが陽性であったことで、横田らが報告したドイツBFM83治療グル-プを対象にした成績(6カ月以内でMRDは10/11に陽性)に比べ、治療早期でのMRD陽性比率は少なかった.このことから、母集団、治療内容の違いにより治療の近接効果が異なる可能性が示唆された。TCRδ鎖再構成を用いた方法のほか、9;22転座、15;17転座の切断点をはさんでPCR増幅することで治療後のMRDを検出できるようになり対象はさらに拡大している。 これらの成果の一部を第34回日本臨床病理学会近畿支部総会シンポジウム、第33回日本臨床血液学会総会シンポジウムで発表した。また第54回日本血液学会総会で発表予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 横田 昇平,芹生 卓,三澤 信一: "白血病の微小残存病変ーPCRを利用した検出とその臨床的意義ー" 臨床病理. 39. 1298-1307 (1991)
-
[Publications] 横田 昇平,三澤 信一: "T‐ALLとtal‐l遺伝子ー染色体異常と欠失による再構成" 血液・腫瘍科. 23. 22-28 (1991)
-
[Publications] 三澤 信一,横田 昇平: "T‐ALLとtal‐l遺伝子再構成" 実験医学. 9. 47-52 (1991)
-
[Publications] 横田 昇平,芹生 卓,三澤 信一: "TCRδ鎖遺伝子再構成を利用した急性リンパ性白血病微小残存病変の検出" 臨床血液.
-
[Publications] C.R.Bartram,S.Yokota,T.E.HansenーHagge,J.W.G.Janssen: "Detection of minimal residual leukemia by polymerase chain reaction(PCR)Strategies in Cancer Chemotherapy:Challenges fon the future vol.6" Excerpta Medica, 10 (1991)