1992 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞受容体8鎖遺伝子再構成を利用した急性リンパ性白血病の微小残存病変の検出
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03671195
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
横田 昇平 京都府立医科大学, 医学部第三内科, 助手 (80231687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 信一 京都府立医科大学, 医学部第三内科, 講師 (40117908)
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Keywords | 微小残存病変 / 急性リンパ性白血病 / PCR / T細胞受容体遺伝子 / 末梢血幹細胞移植 |
Research Abstract |
前年度に引続き、小児癌・白血病研究グループ(CCLSG)(愛知医大小児科藤本教授主宰)に登録された小児ALLを中心に症例の集積を続け、あわせてこれらの臨床経過中の微小残存病変(MRD)の定量を行なった。 目的とするT細胞受容体遺伝子(TCR)δ鎖遺伝し再構成は、スクリーニングを行った181例中82例(45.3%)にみられた。これらの症例において治療開始後、なるベく頻回(1、2、3、6、12カ月後)にMRD測定を試みた。(経時的にMRDの検体が送付され検索が可能であったのは41例であった。) この結果小児ALLのほとんどの症例において、6カ月以上の治療期間を終了した時点でMRDはPCR検出限界以下になることがわかった。初回寛解導入直後(診断後1〜3カ月)には例中例でMRDはすでに陰性化していたが、残りの症例では残存を認めた。CCLSGでは年齢、初診時の白血球数に基づいて患者を3つのリスク群に階層化し、異なったプロトコールを用いて治療しているが、両者の比はリスク群間でほとんど差がなかった。今後、MRD消失までの期間の差が予後に影響を及ぼすか否かさらに観察を続ける予定である。 近年、治療抵抗性の白血病や高リスク白血病に対し、骨髄移植に比肩する治療法として末梢血幹細胞移植術(PBSCT)が施され、良好な成績をあげ注目されている。われわれは、やはりCCLSGのグループの協力を得て、PBSCT施行症例においても移植前後の骨髄・末梢血やPBSC移植片中のMRDをprospectiveに定量している。この結果、採取したPBSC中にも白血病細胞の混入を認める症例があることがわかった。今後、移植片内の幹細胞数、MRDが治療成績にどのような影響を与えるのか調査する予定である。
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[Publications] 横田 昇平: "白血病のトピックス 微量残存白血病細胞の検出T-細胞受容体遺伝子再構成を用いた検出。" 内科. 70(6). 1035-1040 (1992)
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[Publications] 横田 昇平: "急性白血病にみられる染色体転座の分子生物学・t(1;14)の分子生物学-TAL1遺伝子。" Medical Practice. 9(9). 1509-1511 (1992)
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[Publications] 横田 昇平: "DNA検査と診断 PCRの活用 DNAによる白血病微小残存病変の検出。" 医学のあゆみ. 162(9). 582-586 (1992)
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[Publications] 横田 昇平: "造血器腫瘍の微小残存病変-PCR法による診断と集学治療における意義-。" 日本小児血液学会誌. 6. 282-288 (1992)
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[Publications] Biondi,A.: "Minimal residual disease in childhood acute lymphoblastic leukemia:Analysis of patients in continuous complete remission or with consecutive relapse." Leukemia. 6(4). 282-288 (1992)
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[Publications] Hansen Hagge,T.E.: "Human common acute lymphoblastic leukemia-derived cell lines are competent to recombine their T-cell receptor δ/αRegions along a hierarchically ordered pathway." Blood. 80(9). 2353-2362 (1992)
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[Publications] 横田 昇平: "急性前骨髄球性白血病の分子生物学的診断と治療.平井久丸編 「遺伝子からみた癌の病態と診断」臨床医のための実験医学シリーズ2." 羊土社, 12 (1992)
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[Publications] Bartram,C.R.: "Detection of minimal residual disease patients by polymerase chain reactions. in Haematology and Blood Transfusion.Vol.34." Springer Verlag, 7 (1992)