1993 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校レベルにおける「科学と技術と社会の関連」に関する教材の開発
Project/Area Number |
03680246
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Research Institution | OSAKA KYOIKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 善次 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10035165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 正志 大阪女子短期大学, 助教授 (70149558)
三宅 宏司 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (70124782)
田中 紫枝 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (40030366)
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Keywords | 科学 / 技術 / 社会 / STS教育 / 教材開発 / 高等学校 / 科学教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は「科学と技術と社会の関連性」を学習し、人間社会における科学や科学技術のあり方を考えることのできる市民の育成に役立つ高校レベルのSTS教材の開発である。昨年度までの二年間で収集した資料、あるいは試作した教材での授業実践を参考にして本年度は大阪府下の高校において研究協力者によるいくつかの授業実践を行い、開発した教材の評価を試みた。その一つは塩川および平井による教材「水俣病」の授業研究である。授業は作成した教材を基に展開された。その効果については生徒たちの水俣病に対する意識調査(プリ・ポスト)から、生徒たちの意識の変容をみることによって評価した。その結果はこの教材を用いた授業に一定の効果があったことを示している。また、地学分野の教材として藤岡はいくつかのモジュールを作成し、授業研究を行った。大阪を例にした「自然災害」や関西国際空港や明石海峡大橋などの「巨大開発」に関する教材はこの分野での新しい視点を提供するものであり、授業実践後の生徒の感想からその効果を確認した。さらに、松本が行った「タンポポ調査」はそのままではSTS教材にはならないが、この実践活動を通して生徒たちに地域開発とSTSの関連性を考えさせる上ですぐれた教材開発の可能性を示唆する結果が得られた。鈴木・原田たちによる「動力技術の変遷」などの教材研究は大学生用に開発したものであるが、そのものの高校レベルへの適用も考えられるが、この研究を通して高校時代、STSについての認識や理解の不十分さが浮き彫りにされ、高校時代でのSTS教育の必要性が痛感された。本年度の研究も分担者(田中、三宅、岡本)のほか、上記以外の研究協力者(西川)たちとの総合的討論によって教材開発とその実践が行われた。三年間の研究である程度初期の目的を達成できたが、さらなる研究によって、よりよいSTS教材を開発したいと考えている。
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