1991 Fiscal Year Annual Research Report
学校における消費者教育展開の新視点と一貫性に関する研究
Project/Area Number |
03680260
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
柿沼 利昭 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40224349)
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Keywords | 消費者教育 / 消費者保護 / 消費者の権利と責任 / 批判的思考 / PCCI / ナショナル・カリキュラム |
Research Abstract |
第1に,社会科の歩みの中での消費者教育の位置づけを振り返りつつ消費者教育の理念を吟味した。その際,経済社会の成熟等類似点の多い合衆国の例を参考にした。 第2に,理念を踏まえて,我が国の学校教育で今後重視する必要のある意思決定過程の学習について考察した。特に唯一の正解の存在しない価値対立的な問題の学習の在り方について,合衆国における「消費者利益に関する大統領委員会」(PCCI)のガイドライン(1970)をはじめ,R.バニスタ-らによる消費者教育の概念(意思決定,資源管理,市民参加の3本柱から構成),現在刊行中の教科書(CONSUMER MAKE ECONOMIC DECISIONSなど)と教師マニュアル,ワ-クブック等を参考にした。 第3に,消費者教育が教科間にまたがる学習を必要とすることから,消費者として必要な基本的な認識・判断の枠組みを,様々な教科の観点から探る作業を開始した。その際,イギリスのナショナルカリキュラムにおけるクロス・カリキュラ・テ-マや合衆国におけるJCEEの経済テスト等を参考にしつつ,消費者意識調査の予備調査を実施した。その分析と本調査作成は,平成4年度の研究にまつ状態にある。 第4に,上述の調査に必要な知見の一つとして,G.ベッカ-に代表される新たな経済的見方・考え方の検討を始めた。この面では法政大学黒川和美教授の示唆に負うところが大きい。 なお,昨日7月に発注した合衆国図書がいまだに到着しないため,平成2年度に発足した消費者教育支援センタ-の資料を活用させていただいた。 (これまでの成果は,埼玉大学紀要(教育学部)第41巻第1号人文・社会科学(II)の拙稿に収録されている。)
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