1991 Fiscal Year Annual Research Report
数学教育におけるパ-ソナルコンピュ-タの利用とその限界
Project/Area Number |
03680265
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岡森 博和 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90030337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳本 朋子 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (70159771)
鈴木 正彦 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20116164)
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Keywords | プログラミング教育 / 問題解決 / 画像情報の限界 / 数理科学的な教育内容 |
Research Abstract |
1.プログラミング教育の内容について 小学校におけるプログラミング教育では次のような特徴が見いだされた。(1)小学校低学年では、グラフィックス機能を使い、直線や円、多角形についての性質を捉えさることを意図とたプログラミング指導が主である。中・高学年では、グラフィックス機能に数値計算が加わり、身のまわりの問題解決を目的とする活動の中で簡単なアルゴリズムが扱われている。(2)プログラミング活動を学習者の自己表現活動と捉えられている。(3)プログラミング教育のすすめ方は、サンプルプログラムの提示、核となるプログラムの取りだしと命令の理解、続いて、これを応用する活動へという流れが一般的である。(4)言語としては、BASIC、LOGOやLOGOライタ-が主流となっている、などが判明している。中学校は、目下、資料の分析中である。また、小学校における望ましいプログラミング教育は、平成4年度から附属小学校にて実証的な研究を行うことになっている。[論文1] 2.授業形態に対応した望ましいコンピュ-タ利用のあり方について 教師による提示型の場合には、画像情報に多くを期待することはできないことがわかった。たとえば、数の十進構造の原理の意味はキャラクタの働きだけでは捉えられないことなどである。しかし、一方で「速さ」を題材とした文章題では、学習者が入力値を変化させ、繰り返し実行することによって、問題に含まれている概念を関係づけ、帰納的に正答にたどりつくことができるということも明らかになった。 学習者による操作型の場合、小学校の低学年の子どもでも、特定の言語を使ったプログラミング活動が可能であることがわかった。また、学習活動の過程にプログラミング活動を取り入れることは、学習者の思考過程を意識的に言語化することに相当し、その意味で概念形成がより確かなものになることがわかった。[論文2] 3.コンピュ-タを利用した数理科学的な教育内容の開拓について 数理科学的な教育内容の開拓に関しては、問題化→数学化→計算機化→実際化のプロセスをふみ、現実世界と数学とが密接に結びつき、しかもコンパクト性を満たすことを基本的視座とした。具体的な教材化としては、道路の交差に対応する車の移動空間の問題をとりあげ、高等学校における解析幾何に結びつけた。[論文3]
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[Publications] Hirokazu Okamori,Masahiko Suzuki,Tomoko Yanagimoto: "A Study on Valid Utilization of Computers in Mathematics EducationーIn the Case of Elementary Schoolー" Osaka Journal of Mathematics Education. 20. 149-157 (1991)
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[Publications] 井上 雅喜,柳本 朋子: "高等学校における解析幾何の教育に関する研究ーリアルワ-ルドの教材化とその視点ー" 数学教育研究(大阪教育大学数学教室).
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[Publications] 鈴木 正彦,仲野 務(分担執筆): "算数数学の実践指導17「教育機器の活用と算数数育」「プログラミングを主体とした授業プラン」(pp.116ー139)" 新興出版社 啓林館, (1992)