1991 Fiscal Year Annual Research Report
酪農生産構造の動学的予測ーエキスパ-トシステムの導入ー
Project/Area Number |
03806035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長南 史男 北海道大学, 農学部, 助教授 (00113697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 明 酪農学園大学, 講師
廣政 幸生 北海道大学, 農学部, 助手 (00173295)
黒河 功 北海道大学, 農学部, 助教授 (90125310)
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Keywords | エキスパ-トシステム / 酪農生産 / 動学的予測 / 人工知能 / 地域情報 / 構造変化 / 規模拡大 / OPS5 |
Research Abstract |
本年度はエキスパ-トシステムの適用可能性を検討するとともに、調査地域(大樹町)のデ-タ整理及びマルコフ法による酪農生産の経営規模構造変化の基礎的な予測を行った。これと併行して、北海道の牛乳生産費デ-タを使用して規模の経済性を計量分析し、生産調整政策が規模構造に与える影響を分析する枠組みを提示した。農産物・投入財価格予測の計量経済モデルについては、来年度へ継続する予定である。 エキスパ-トシステムの導入部については、具体的に人工知能言語としてOPS5を使用し、その言語特性を明らかにし、本研究では「表形式」で専門家の知識を整理することが有効であると結論した。すなわち、「原因ー結果ー処置」の形式で情報を並列的に整理し、OPS5の競合解決ル-ルに委ねる。 マルコフ法による経営規模構造予測における適用方法を検討した結果、エキスパ-トシステムは、初期値の決定時には比較的簡単に導入できるが、推移確率の生成についてはまだ検討の余地が大きい。後継者のあるなしと同様のレベルで、各経営の技術力、負債の状況評価が規模拡大・縮小の判別基準になるが、「拡大」「縮小」の「言語情報」を数値化する困難がある。 この他に重要な点は、予測に際しての地域情報の重視である。1984ー1988年の期間で調査地域の規模拡大は漸進的であったが、一頭当たり乳量は急速に増大し、これは経営規模にかかわらなかった。一頭当たり乳量の増大が最優先課題とされ、その結果、規模拡大・縮小の構造変化のポテンシャルは高まっているが、表面化していない。したがって、この期間の推移行列を使用して予測すると、規模拡大傾向は過小評価となる。このように、ある時点、ある地域で各農家に浸透している情報構造を明かにし、予測に組み込むことが不可欠の作業となる。
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