1991 Fiscal Year Annual Research Report
事実の学習における既有知識の利用に関する実験とモデル化
Project/Area Number |
03831014
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Research Institution | Kunitachi College of Music |
Principal Investigator |
小嶋 惠子 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (00050782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多野 誼余夫 獨協大学, 教養部, 教授 (60049575)
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Keywords | 事実の学習 / 領域固有の知識 / 記憶術的方略 / 対連合学習 |
Research Abstract |
ある領域の内容的知識の高いエキスパ-トが、その領域での新しい事実の学習の際に、1)その領域のどのようなタイプの知識をどのように利用しているか、2)その領域の知識の使用と記憶術的方略の使用はどのように関連するかを検討した。具体的には、プロ野球の選手についての知識の高い大学生で、記憶術的技能を高い群と低い群の被験者に、「AがXという行動をした」という形の文(プロ野球の選手名とその選手がしそうな行動との対連合)からなるリストを覚えさせた。ステトでは「Xをしたのは誰か」を問い、選択肢の中から選んで答えさせた。どのように覚えたかについての言葉報告も求めた。記憶成績、エラ-の型、言語報告から、次の2点が明らかになった。1)利用したと報告された野球の知識のほとんどは、主語となっている選手についての情報(イメ-ジ、成績、エピソ-ドなど)であって、他の選手についての情報や野球一般についての知識を報告したものはほとんどいなかった。その選手についての情報は記銘時に自動的に喚起されることが多く、その場合には記憶の誤りはほとんどなかった。テスト時にその選手についての情報を使って推論して答えることもあったが、その場合には正答率は低い。2)記憶術学的技能が高い群でも、1つの項目を覚えるのに、野球の知識と記憶術的方略と両方を使用することは少ない。知っている選手についてはその選手についての情報を使用し、記憶術的方略は使用しなかった。知らない選手にさいては記憶術的方略をよりしばしば使用した。その領域の知識が高いと、それは記憶術的方略の使用を抑制するらしい。
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