1991 Fiscal Year Annual Research Report
農耕地からの農薬流出に伴う健康影響のリクス評価とその制御に関する研究
Project/Area Number |
03832050
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
細見 正明 国立環境研究所, 水土壌圏環部, 主任研究員 (90132860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相沢 貴子 国立公衆衛生院, 衛生工学部, 室長 (10192832)
中杉 修身 国立環境研究所, 地域環境グループ, 総合研究官 (50109899)
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Keywords | 農薬 / 流出 / 運命予測 / リスクアセスメント / 水道 / 浄水処理 / 農耕地 / 湿地 |
Research Abstract |
1.農耕地からの農薬流出に関する文献および資料整理を行い、数種類の農薬について、水田面水中の農薬は概ね1次反応に従って分解されることが明らかになったが、同じ農薬でも実験場所、実験規模、実験期間が異なればかなり反応速度定数も変化することが示された。また、霞ケ浦流入河川水中の除草剤及び殺虫剤濃度は、5月下旬から7月中旬までと9月から10月始めまで1ppb〜10ppbオ-ダ-で検出されることが示された。 2.リクス評価の手法として、有害廃棄物の環境影響評価システムとして米国で採用されている危険度ランク付けシステムについて、レビュ-した。汚染箇所からの汚染が、地表水経路、地下水経路、大気経路、直接接触経路毎に、環境への侵入の確認、あるいはその可能性、汚染物質の毒性、汚染の暴露を受けるタ-ゲットを評価して、得点付けを行い、危険度のランク付けをしていシステムであり、農薬の環境流出に伴う評価手法として有意義であると考えられた。 3.休耕田などを湿地として利用し、農薬流出を削減していくために、アシを植栽し、モデル湿地を研究所内に設置した。来年度から農薬を用いた実験が可能になると考えられる。 4.標準的な浄水処理における農薬の挙動について、室内でカオリンを獨質とした凝集実験の結果、MEP、オキサジアゾン、CNP、IBP、などの農薬は、通常の凝集沈殿処理ではほとんど除去されないことが示された。また、実際の浄水場における原水と浄水の農薬濃度を測定したところ、浄水処理によって除去されないのでそのまま浄水として残存する農薬と、浄水には存在しなくなる農薬とがあることが判明した。後者は化学構造が異なる物質で存在していると予想され、基本的には、通常の浄水処理では農薬は除去されないと考えられた。
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[Publications] 細見 正明: "有害廃棄物の環境影響評価システム" 化学物質による環境汚染の現状と今後の動向. 20. 29-67 (1991)
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[Publications] 細見 正明: "湿地による生活排水の浄化" 水質汚獨研究. 14. 674-681 (1991)
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[Publications] 細見 正明: "マイクロトックス試験による水質評価" 第28回衛生工学研究討論会講演集. 80-82 (1992)
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[Publications] 中杉 修身: "クロスメディア汚染のリスク管理" エコケミストリ-研究会ニュ-スレタ-. 2. 1-4 (1991)
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[Publications] 真柄 泰基: "浄水処理における農薬の制御" 水質汚獨研究. 14. 532-535 (1991)
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[Publications] 中村 靖夫: "塩素処理及びオゾン処理による農薬の分解性と分解生成物の同定(2)" 第42回全国水道研究発表会講演集. 653-655 (1991)
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[Publications] 中杉 修身(分担執筆): "内藤 正明編著 環境を守る技術(分担土壌・地下水汚染と技術,137ー166)" 読売新聞社, 251 (1991)
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[Publications] 細見 正明(分担執筆): "茅 陽一編 地球環境工学ハンドブック(分担)土壌園における物理と化学,116ー134)" 1372 (1991)