1992 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動がシベリア永久凍土の凍土圏・生物圏に与える影響の研究
Project/Area Number |
04041014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 正己 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70002160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IVANOV B ロシア科学アカデミー生物研究所, 副所長教授
RUSAKOV V ロシア科学アカデミーヤクーツク永久凍土研究所, 準教授
KUNITSKY V ロシア科学アカデミーヤクーツク永久凍土研究所, 教授
高久 元 北海道大学, 理学部, 助手 (40236203)
高橋 英樹 北海道大学, 農学部附属植物園, 助教授 (70142700)
佐藤 利幸 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (00154071)
曽根 敏雄 北海道, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
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Keywords | 永久凍土 / タイガ / ツンドラ / 地下氷 / 地球温暖化 / メタンガス / 最終氷期 / 植物進化 |
Research Abstract |
(1)数万年オーダーの長期と数100年オーダーの短期の地球規模の気候変動は、シベリア永久凍土に大きな影響を与えてきた。地球の全陸地の約9%を占めるシベリア永久凍土は広大森林(タイガ)が繁茂し、CO2貯留の重要な源の役割を果たしている。そこで、最近の地球温暖化にかかわる永久凍土の変質とその役割についての総合調査を実施した。特に温室効果ガスとしてのメタンガス発生と植生との関係、永久凍土中の地下氷からのメタンガスの供給量の推定に関し、北極海沿岸レナ川河口にてロシア側分担者の参加を得ての現地調査を実施した。その結果から以下に述べる新たな知見を得ることが出来た。 (2)永久凍土中の巨大な地下氷(エドマ層)についての現地調査と採取した氷試料の分析から、最終氷期(4万年-2万年前)に凍土中に析出した氷楔でエドマ層が形成されたことが、今回初めて確認出来た。 (3)エドマ層上部の氷中には大量の気泡が含まれており、その空気組成を分析したところ、現在の大気のおよそ2000倍の高濃度のメタンガスが含まれていることが判明した。これについては、従来のロシア側の既報データをはるかに超えており、今後温暖化に放出メタンガスが積極的に影響するであろう。 (4)北極海沿岸のツンドラ植生での、植生種分布を現地調査で明らかにすることが出来た。特に湿原を構成する植物群落とそれが繁茂する沼沢地からのメタンガス発生フラックを定量測定することが出来た。 (5)試料解析と研究成果の検討のために、相手側研究分担者を招聘し、また国内の関連研究専門家を招いて、低温科学研究所にて調査報告のためのシンポジウムを開催した。その成果を英文報告書として取りまとめて、出販した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 福田 正己: "シベリア永久凍土からのメタンガス発生について" 極地.
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[Publications] M,Fukuda(ed): "Proceedings of Symposium on Joint Permafrost studies between Japan and Russia" Institute of Low Temperature Science, 102 (1993)