1993 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ タンガニイカ湖の魚類を中心とする生物群集の多様性に関する研究
Project/Area Number |
04041078
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳沢 康信 愛媛大学, 理学部, 助教授 (90116989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MBOKO Sima K ザイール科学研究省ウビラ研究所, 研究員
PHIRI Harris ザンビア水産研究所タンガニイカ湖支所, 研究員
須之部 友基 千葉県立中央博物館, 動物科, 学芸研究員 (00250142)
田中 哲夫 姫路工業大学, 自然環境研究所, 助教授 (40244694)
仲谷 一宏 北海道大学, 水産学部, 助教授 (00002353)
西田 睦 福井県立大学, 海洋生物資源学科, 助教授 (90136896)
堀 道雄 和歌山県立医科大学, 助教授 (40112552)
川那部 浩哉 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60025286)
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Keywords | 生物群集 / 多様性 / カワスズメ科魚類 / 適応放散 / 種間関係 / 共存 / 地理的変異 / タンガニイカ湖 |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、ザンビア沿岸岩礁域の魚類群集比較のためのセンサス・行動観察・標本採集を10地点で行った。本年度は特に、Lamprologus属ベントス食者の種組成、種間関係、形態比較を行い、食性の変異性と「形質置換」に関して新しい知見を得た。 2.タンガニイカ湖南部水域では、局所的に高密度に分布する巻貝の殻が、魚類の産卵・保育基質として広く利用されている。巻貝の殻をある区域から除去したり付加したりする実験によって、巻貝の殻の存在が直接・間接的に魚類群集のバランスに多大な影響を及ぼしていることが判明した。 3.これまでほとんど調査されることがなかった水深60〜180mの魚類を刺し網によって多数採集し、深場の魚類群集の食物関係をある程度の精度で明らかにした。 4.これまでの調査で、タンガニイカ湖魚類群集内のさまざまな協調的・相互依存的な関係が明らかになっている。今回の調査では、保育中の大型魚食者の存在が、別の魚種の幼稚魚の群れの「見張り役」になっている例や、定住性の強い魚種の非選択的攻撃行動が、近くで保育する別の種の保育効率を上昇させている例などが観察された。 5.昨年度に引き続き、系統分類学的・遺伝学的研究のため、多くの地点で標本を採集した。早急に標本の測定や解析をおえて、タンガニイカ湖カワスズメ科魚類の類縁関係、個体群間の遺伝的分化の程度などを明らかにする予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Yanagisawa,Y.: "Long-term territory maintenence by female Tropheus duboisi(Cichlidae)involving foraging during the mouth-brooding period" Ecology of Freshwater Fish. 2. 1-7 (1993)
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[Publications] Hori,M.: "Frequency-dependent natural selection in the handedness of scale-eating cichlid fish" Science. 260. 216-219 (1993)
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[Publications] Mboko,S.K. & M.Kohda: "Pale and dark dichromatism related to microhabitats in a herbivorous Tanganyikan cichlid fish,Telmatochromis temporalis" Journal of Ethology. (in press).
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[Publications] Kohda,M. & S.K.Mboko: "Territory behaviour of a Tanganyikan cichlid fishes against larger intruders" African Study Monographs. (in press).
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[Publications] Kohda,M.: "Individual foraging repertories of a piscivorous cichlid fish,Lepidiolamprologus profundicola" Animal Behaviour. (in press).
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[Publications] Ochi,H.,Y.Yanagisawa & K.Omori: "Intraspecific brood-mixing of the cichlid fish Perissodus microlepis in Lake Tanganyika" Environmental Biology of Fishes. (submitted).
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[Publications] 川那部浩哉(監修)、堀道雄(編): "タンガニイカ湖の魚たち多様性の謎を探る" 平凡社, 286 (1993)
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[Publications] 川那部浩哉・遊麿正秀(編): "生態学からみた安定社会多様性の維持と促進-タンガニイカ湖の魚類群集から-" 財団法人京都ゼミナールハウス, 277 (1993)
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[Publications] Nagoshi,M.,Y.Yanagisawa & H.Kawanabe(eds.): "Ecological and limnological study on Lake Tanganyika and its adjacent regions VIII" Dokura Press, 136 (1993)