1993 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア文化と近代法--日本と韓国の比較研究を通して--
Project/Area Number |
04044011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今井 弘道 北海道大学, 法学部, 教授 (00093188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 堅愚 延世大学校, 法科大学, 助教授
梁 承斗 延世大学校, 法科大学, 教授
中村 睦男 北海道大学, 法学部, 教授 (30000665)
鈴木 賢 北海道大学, 法学部, 助教授 (80226505)
五十嵐 清 札幌大学, 法学部, 教授 (00000646)
千葉 正士 東京都立大学, 名誉教授 (30083306)
沈 在宇 高麗大学校, 法科大学, 教授
崔 鍾庫 ソウル大学校, 法科大学, 教授
金 哲洙 ソウル大学校, 法科大学, 教授
鈴木 敬夫 札幌学院大学, 法学部, 教授 (50047908)
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Keywords | 「イエ」社会 / 「宗族」社会 / 比較思想史 / 比較規範意識論 / 法系論 / 公法的文化 / アイデンティティ原理 / 日韓両国における人権観念 |
Research Abstract |
プロジェクト二年目の今年は、基本的問題意識を共有しつつ、かなり煮つまった議論をすることができた。 まず(1)昨年の成果を踏まえて、日韓の比較法文化を研究する上での一つの焦点としての「姓」の理解の差異をめぐって、日本で既に行なわれている「イエ」社会の研究およびそれと対照される韓国の「宗族」社会の人類学的・社会学的研究を踏まえ、それを「比較思想史的・比較規範意識論的」方向に具体化する方向性が提示された。(2)ヨーロッパで展開されている「法系論」との関係において、日韓の比較法文化を検討する際の基本的視点が提示された。(3)ヨーロッパ法と日本法および韓国法の公法的文化の比較法的研究へ向けての基本的視点が提示され、共有された。(4)日韓両国の法文化の固有性をその根底において把握するための方法的概念としての「アイデンティティ原理」についての提案がなされ、その概念の長所と短所についての立ち入った議論が行なわれた。(5)欧米からの人権観念の日本への導入、および韓国への導入とその後の固有の展開についての基本的アウトラインが示され、その異同関係およびそこに存在する問題点に関する立ち入った議論が展開された。 この一年での実績はおよそ以上のような論点についての報告と議論がなされたことである。こうして、昨年の成果を踏まえて、各人の問題関心と専門に合わせて多様な方向に研究は進展しつつある。無論、自然科学と違って、すべての構成員が同一の結論を支持するということにはならない。しかし、このすべての議論をめぐって、ヨーロッパ法との関係における日本人と韓国人の規範意識の構造的類似性と差異性、その背後にある文化的問題性については、かなり共通の了解が達成されたということができる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 千葉正士: "非西欧法理論研究の現在的意義" 北大法学論集. 44巻4号. 895-905 (1993)
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[Publications] 鈴木敬夫: "風土的自然法と法実証主義批判" 北大法学論集. 44巻4号. 906-913 (1993)
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[Publications] 鈴木賢: "近代的・個人主義的家族法と伝統的・儒教的家族の相克" 法と社会哲学会韓国年報. 3号. 52-65 (1993)
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[Publications] 沈在宇,(訳 岡 克彦): "儒家の法思想" 北大法学論集. 44巻4号. 914-920 (1993)
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[Publications] 崔鍾庫,(訳 岡 克彦): "韓国思想と法哲学の課題" 北大法学論集. 44巻4号. 921-933 (1993)
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[Publications] 沈在宇,(訳 岡 克彦): "抵抗論" 北大法学論集. 44巻6号 (発表予定). (1994)