1992 Fiscal Year Annual Research Report
カキ属植物におけるタンニン集積とその生理的役割に関する研究
Project/Area Number |
04044090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉浦 明 京都大学, 農学部, 教授 (00026379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAN E Parfit カリフォルニア大学, 果樹園芸学部, 助教授
SURANANT Sub カセサート大学, 農学部, 教授
宇都宮 直樹 近畿大学, 農学部, 教授 (60026622)
米森 敬三 京都大学, 農学部, 助教授 (10111949)
中坪 文明 京都大学, 農学部, 助教授 (10027170)
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Keywords | カキ属植物 / タイ / タンニン |
Research Abstract |
本年度のタイ国でのカキ属植物(Diospyros spp.)の探索の結果、28樹のカキ属植物から試料を採取することができた。このうち、種が特定できたもの13樹9種(うち果実が採取できたもの8種)と本学圃場に植栽されているD.kakiを含むカキ属植物5種(うち果実が採取できるもの4種)の計14種について、樹皮のEtOH摘出液の極大吸収波長、葉中のフラボノイド、果実中のタンニン細胞の特性及びその分布状態について調査し、栽培ガキ(D.kaki)との類縁性を検討した。その結果、以下の点が明らかになった。 1.樹皮のEtOH抽出液の吸収極大は種によって特異性があり、吸収極大をもたない種、420nm、450nmあるいは480nmのいずれかの波長で吸収極大をもつ種、420と540nm、450と580nm、あるいは480と600nmの2つの波長で吸収極大をもつ種の7グループにわかれた。D.kakiは420と540nmに極大をもち、分析した種ではD.glandulosaのみがこのグループに属した。 2.葉のEtOH抽出液のHPLC分析から、合計7成分のフラボノイドの存在が認められた。このうち、D.mollisとD.decandraにはこれら7成分すべてが存在せず特異的であった。また、D.kakiは7成分のうち3成分をもっていていたが、D.kakiと同じ成分組成を示す種はなかった。 3.調査した種のうち、4種のものには果実中にタンニン細胞が全く存在していなかった。また、D.decandraとD.malabarica var.siamensisではタンニン細胞が数十個集まって群として分布しており、特異性を示した。なおD.kakiと類似したタンニン細胞の存在様式を示した種はD.apiculataとD.glandulosaであった。 今後、これらの結果を総合的に検討すると共に、分析を進め、順次成果を公表する予定である。なお、採取した試科で未同定のものは現在タイの研究分担者が種の同定を進めている。また、DNAレベルでの種間類縁性の調査についてもアメリカの研究分担者が分析方法を検討中である。
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