高エネルギー不安定同位元素ビームと新核科学

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04044102
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 南園 忠則 大阪大学, 理学部, 教授 (20028210)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): G Krebs ローレンスバークレー研究所, Staff Scie ; J R Alonso ローレンスバークレー研究所, 核融合部副長 ; T J M Symons ローレンスバークレー研究所, 核物理部長 ; 谷畑 勇夫 理化学研究所, 主任研究員 (10089873) ; 下浦 亨 東京大学, 理学部, 助手 (10170995) ; 鹿取 謙二 大阪大学, 理学部, 教授 (20013485) ; 福田 光順 大阪大学, 理学部, 助手 (50218939) ; 松多 健策 大阪大学, 理学部, 助手 (50181722) ; 野尻 洋一 大阪大学, 理学部, 助教授 (90028233)
• Keywords: 高エネルギー重イオン / 入射核破砕過程 / スピン偏極 / 負角散乱 / 鏡映核モーメント / 四重極モーメント / 陽子ハロー / 相互作用断面積

Research Abstract

今年度は「新型核磁気共鳴装置」を完成し、引き続き鏡映核磁気モーメントの研究と、不安定核の四重極モーメント測定による陽子ハローの研究、それに相互作用断面積を測定する不安核の核物質分布及び中性子ハローの研究を進めた。まず、認可された概算要求(3年計画)の最終年度にあたり、低温制御装置と位置検出器を完成した。既に平成2、3年度に完成していた核スピン制御装置、ビーム薄膜偏極装置、高速ベータ線検出器系、γ線検出器系それに電子回路系を、既にLBLに我々の提案で完成していた「高エネルギー入射核破砕片分離器」と最終的に結合して、「新型核磁気共鳴装置」を完成した。今年度は全系の総合試験を行い、次にスピン偏極測定による破砕過程の反応機構研究と、生成したスピン偏極を用いた^<43>Ti(I^π=7/2^-の核モーメントの研究を進め大きな成果を上げた。破砕片分離器の総合試験として、^<39>Ca(I^<π=>3/2^+)、^<37>K(I^π=3/2^+)等を、^<40>Caビーム射核破砕過程で生成して、これを分離して純化後、最終的に破砕片補集体(CaF_2等の単結晶)に埋め込み捕集した。予定通りの生成集率を収めた。一方磁気共鳴装置については、上記核種についてβ-NMR(磁気共鳴)を行い確認した。また四重極モーメントの測定技術を改良して既存の方法より千倍効率の高い方法とすることに成功した(新核四重極共鳴法の開発)。次に上記核種と、新たに^<46>Tiビームの破砕過程で生成する^<43>Ti(I^π=7/2^-)のスピン偏極の角度依存性と運動量依存性を測定し破砕過程中に核力による負角度散乱の存在を初めて実証した。一方陽子drip-line上にある^8B(I^π=2^+)の電気四重極モーメントを新四重極共鳴法を用いてδQ/Q=10^<-2>という高精度で決定することに成功し、異常に巨大なモーメントであることを指摘出来た。これの分析から四重極モーメントは殆ど全て陽子が担い、陽子にハローがあって初めて論証出来ることを実証した。そして引き続き軽不安定核の核半径の決定を相互作用反応断面積の決定から行った。

Research Products

• [Publications] K.MATSUTA et al.,: "Observation of Spin Polarization of Projectile Fragments from 106A MeV^<40>Ca+Collisions." Physics Letters B. B281. 214-218 (1992)
• [Publications] T.MINAMISONO et al.,: "Proton Halo of ^8B Disclosed by Its Gians Quadrupole moment." Physical Review Letters. 69. 2058-2061 (1992)
• [Publications] T.MINAMISONO et al.,: "Precise Measurement of the Magnetic Moment of ^<17>F(Iπ=5/2^+,T_<1/2>=64.5s)and Its Hyperfine Interactions in Ionic Crystals." Hyperfine Interactions. 73. 347-356 (1992)
• [Publications] K.MATSUTA et al.,: "Production of Unstable Nuclei Far from Stability Line. -Its Scope and Limitation- (to be published)" Proceedings of IXth International Conference on Hyperfine Interactions (Held at Osaka).16 (1992)
• [Publications] T.MINAMISONO et al.,: "New Nuclear Quadrupole Resonance Technique in β-NMR. (to be published)" Proceedings of IXth International Conference on Hyperfine Interactions (Held at Osaka).4 (1992)
• [Publications] Y.NOJIRI et al.,: "Hyperfine Interactions of Short-Lived β-Emitter ^8Li in Ferromagnetic Ni. (to be published)" Proceedings of IXth International Conference on Hyperfine Interactions (Held at Osaka).4 (1992)
• [Publications] 南園忠則、野尻洋一、赤井久純 福田光順 編集: "The Proceedings of the IXth Hyperfine Interactions" J.C.Baltzers AG, 1500 (1993)