1993 Fiscal Year Annual Research Report
日・欧米の特殊教育教員養成と現職教師教育に関する比較共同研究
Project/Area Number |
04044172
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Research Institution | National Institute of Special Needs Education |
Principal Investigator |
倉地 克次 国立特殊教育総合研究所, 所長 (20225246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 久史 国立特殊教育総合研究所, 病弱教育研究部, 主任研究官 (60132718)
中澤 惠江 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 主任研究官 (60155702)
須藤 正彦 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 研究員 (90206566)
笹本 健 国立特殊教育総合研究所, 肢体不自由教育研究部, 室長 (40141999)
小山 創 国立特殊教育総合研究所, 情緒障害教育研究部, 主任研究官 (30124209)
落合 俊郎 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 室長 (00150053)
土谷 良巳 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 主任研究官 (00142000)
緒方 明子 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 主任研究官 (40170419)
成田 滋 国立特殊教育総合研究所, 教育工学研究部, 室長 (10172587)
志村 洋 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 室長 (80106153)
高杉 弘之 国立特殊教育総合研究所, 重複障害教育研究部, 室長 (20000292)
宮崎 直男 国立特殊教育総合研究所, 精神薄弱教育研究部, 部長 (20150055)
菅原 廣一 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 部長 (30000269)
柴山 盛生 国立特殊教育総合研究所, 総合企画調整官 (70170909)
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Keywords | 特殊教育 / 教育改革 / 統合教育 / 専門性 / 教員養成 / 研修制度 |
Research Abstract |
本年度の研究実績として以下のことが明らかにされた。 1.教員養成と研修制度に見られる文化・経済・社会的背景と特色 各国固有な特殊教育体制の違いは質的なものではなく、歴史・言語・文化的な違いに由来していると考えられる。それゆえ、教員養成と研修制度に見られる文化・経済・社会的背景と特色の理解が、各国の特殊教育、それにかかわる教員養成と研修にとって重要である。次のような事項において互いに相違することが明らかになった。(1)教育の目標、(2)異文化の尊重と統合、(3)教育過程と教育成果の重視、(4)公教育の転換、(5)教育成果の納税者や親への報告義務、(6)教育サービスの拡大 2.分離-統合-一体化教育(inclusion)への移行の背景 なぜ統合教育が当該国で実施されているのかを「普通教育主導の教育」とか「一体化教育」の考え方とその内容を検討した。合衆国の統合教育の主たる対象は、軽度から中度の障害である。重度の障害のある生徒は施設内学校など分離された環境で措置されており、早急には統合の対象とは考えられていない。 3.公教育の質の向上 我が国も学習に遅滞し中途で退学する生徒が年々増加の傾向にある。私立学校における教育の質の向上が公立学校離れを加速させている。親は、合衆国などでは教育投資と教育成果に敏感となっており、この傾向は進行すると考えられる。このような現状から、公教育の質の向上には、親の学校選択制度とか個性化教育など学校間の特色の強調や競争原理の導入が改革のはずみとなるという声もある。 4.教育方法や形態の多様化に働く社会的動因 教科において遅滞する生徒が増加する傾向は、各国とも共通している。最低限度の習熟度を設定して修了や卒業の基準を明確にする必要もある。次のような項目について意見の交換をした。(1)教育措置の多様化、(2)学校の多様化、(3)生徒のニーズに対応、(4)親の役割と参加、(5)登校拒否児や学習に遅滞する生徒。 5.教職の専門性 教師教育において教師の専門性とはなにか、それがどのような課程の中で養成されているか、専門性とその待遇などについて意見が交換され、次のような基準が検討された。 (1)専門的教職基準、(2)教職免許の再編成として学士号を有する普通教員、修士号を有する専門教員、教職での専門性を有する教員、博士号を有する特別教員などの区分。 6.教員免許制とその背景 教員免許制は、各国とも基本的に障害別となっている。しかし、教師教育における「専門性」の強調によって「授業と学校についての学問的知識」、「教科内容と教科教育学の知識」、「教室の授業についての技術と理解」、「臨床的経験」などが教師に求められていると考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 志村洋・土谷良巳・成田滋: "ミネソタ州の障害児教育にみる一体化教育とその背景" 世界の特殊教育. 8. 5-12 (1994)
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[Publications] 成田 滋: "多様な教育形態を制度化するミネソタ州の障害児教育" 世界の特殊教育. 8. 1-4 (1994)
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[Publications] 緒方明子: "特別な援助を必要とする子どもに対するノンカテゴリカル・アプローチ" 世界の特殊教育. 8. 13-16 (1994)
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[Publications] 須藤正彦: "トータルインテグレーションへの試行と支援教師養成の課題" 世界の特殊教育. 8. 17-20 (1994)
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[Publications] 落合俊郎: "イタリアにおけるインテグレーション" 日本特殊教育学会第31回大会発表論文集. S-24 (1993)
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[Publications] 落合俊郎: "イタリアの障害児関連法規について" 季刊教育法. 95. 98-102
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[Publications] 落合俊郎: "APEIDセミナーとERASUMUSプロジェクトの比較・検討" 世界の特殊教育. 8. 56-59 (1994)
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[Publications] 近藤久史: "スエ-デンにおける特殊教育教員養成" 世界の特殊教育. 8. 21-27 (1994)