1993 Fiscal Year Annual Research Report
現代民衆宗教における世界観と救済観に関する総合的研究
Project/Area Number |
04301004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
荒木 美智雄 筑波大学, 哲学思想学系, 教授 (60103032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井門 富二夫 桜美林大学, 国際学部, 教授 (40055273)
星川 啓慈 図書館情報大学, 図書館情報学部, 講師 (10173585)
島薗 進 東京大学, 文学部, 助教授 (20143620)
山中 弘 愛知学院大学, 文学部, 助教授 (40201842)
池上 良正 筑波大学, 哲学思想学系, 助教授 (60122925)
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Keywords | 民衆宗教 / 新宗教 / 救済観 / 瞑想 / 宗教的意味世界 / 修養 / 宗教体験 / 政治と宗教 |
Research Abstract |
本研究は、昨年度に引き続き、急速に変化する現代社会に生きる民衆の宗教的意味世界が現実社会と人間をどのように捉え、救済をどのように考えているかを、とりわけ、幕末維新期から今日まで展開してきた新宗教の運動や民間にいきづいてきたフォーク・レリジオンの担い手たちに探求してきた。昨年度同様、本年度もそれぞれの班ごとに研究対象と課題を設定して、それぞれの実地調査と資料収集に専念した。研究を総括する荒木・池上は、沖縄のキリスト教会に最近台頭してきたペンテコステ系カリスマ運動や世界救世教などの新宗教における神癒活動の動向を調査し、伝統と近代化の相克のなかで、新たな意味世界を希求する、現代民衆の救済論的課題領域について、資料を収集するとともに、高野山や吉野の調査によって、日本宗教のルーツとの関係からそれらを比較論的に捉えることも試みた。また同時に、それらの宗教現象を取り扱う学問的方法についても、この百年間にわたって日本に導入されてきた西欧の学問体系との関係で再吟味、再検討してきた。 島薗・市川は、修養会型の新宗教を重点的に調査するなかで、現代の新宗教運動に顕著な体験主義的・心理主義的な特徴を明らかにしてきた。 中野は、創価学会に代表されるような組織の巨大化した新宗教を対象に、政治と宗教の相克関係を捉える理論的枠組みを整備してきている。 星川は、最近とみにその実践者が増えている超越瞑想運動“TM"の実地調査を行なうとともに、他者の宗教体験の理解と宗教体験の言語化の問題についての理論的考察も進めてきた。 これらの資料の分析や理論化の成果に関しては、本年度はまだトータルな報告の段階には到ってないが、分担者ごとの問題意識に沿って、研究の前提となる論考を発表し、相互の批判や議論を経て、本年度の成果として公刊した(「研究発表」欄参照)。
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[Publications] 荒木美智雄: "民衆宗教としての世界救世教" 岡田茂吉研究. 2. 1-17 (1993)
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[Publications] 池上良正: "Okinawan Shamanism and Charismatic Christianity" The Japan Christian Review. 59. 69-78 (1993)
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[Publications] 山中弘: "現代イギリスの宗教事情と移民" 愛知学院大学 人間文化研究所紀要 人間文化. 8. 65-79 (1993)
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[Publications] 星川啓慈: "日本における“Transcendental Meditation"運動-現実的効果の獲得からユートピアの建設に向けて-" 図書館情報大学研究報告. 12. 1-27 (1993)
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[Publications] 荒木美智雄: "岩波講座 日本文学と仏教 第3巻 現世と来世" 岩波書店, (1994)
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[Publications] 井門富二夫(編): "占領と日本宗教" 未来社, 650 (1993)