1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04301024
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
交野 正芳 愛知大学, 文学部, 教授 (50113056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正和 椙山大学, 人間関係学部, 教授 (70200839)
蘭 信三 熊本大学, 文学部, 助教授 (30159503)
鯵坂 学 広島大学, 総合科学学部, 教授 (60135960)
青木 康裕 同志社大学, 文学部, 教授 (40104616)
丸木 恵祐 金城学院大学, 文学部, 教授 (30079454)
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Keywords | 住民の地域移動 / 地方出身者 / 集落の秩序原理 / 地域連関性 / 故郷 / 同郷団体 / 都市の生活条件 / 離島の生活 |
Research Abstract |
鹿児島県・上甑村江石集落で行った「住民移動と定住」調査の分析をすすめた。この調査は、すでに離島と工業都市との地域連関性についての把握を中心とした移住者-阪神都市へ他出した地方出身者-の生活(史)に拠って追求した前回の科研費研究による下甑村・瀬々野浦調査をふまえて、就業を主たる目的とした離島(離村)現象が集落の物的基盤と社会関係を主たる要件とした集落の特性規定された住民の地域移動であること、そして、離島と都市とのふたつの地域を連関させた生活構造を現出させていることをみた。 そのことをふまえた上記調査においては住民の地域移動は就業移動を体勢とするが、同集落の漁業とくに定置網漁業を軸とした生活の物的側面、それが集落の秩序原理としてあること、そして、漁業者としての他出(職場移動性が高く、他出先は近辺の九州はじめ漁業を生活基盤とする地域であるなど)が特徴的であった。 そうした集落特性に方向づけられた住民の地域移動の状況が、60年代の工業都市への労働力移動ピークを示す時期において、さらにその後の農山村の過疎状況というわが国に一般的な状況を体現する地域移動の傾向が江石集落においても支配的となった。そうした事実から、人口を排出する側である離島における定住条件の整備、それと同時に都市に他出している集落出身者にとっての都市の生活条件の整備という観点からの政策的対応が必要であること、そして、その対応のありかたが他出者の故郷とのむすびつき(故郷への金銭的援助、生活関係において人的援助)と関連して他出者と故郷が今後、どのような意味と位置を占める(これまで他出先の都市において同郷団体活動に顕著な特徴を示す)のかが生活拠点としての離島の今後が注目される。離島の生活と離島出身者の生活する都市という実際世界を抽象化したり排除しないで、論じる視点の確立をうながしている。
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