1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04301025
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Research Institution | TOYOEIWA COLLEGE |
Principal Investigator |
大嶋 恭二 東洋英和女学院大学短期大学部, 保育科, 教授 (20185250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 道子 財団法人青少年福祉センター, 研究室, 研究員
西村 洋子 創価大学, 人文学部, 教授 (00063892)
松本 伊智朗 札幌学院大学, 人文学部, 講師 (20199863)
遠藤 克子 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (10213589)
大橋 薫 聖徳大学, 人文学部, 教授 (90062067)
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Keywords | 要養護高齢女子児童 / 家族・養護問題 / 養護問題発生の構造 / 女子(女性)の自立 / 施設児童の進学率 / 施設退所後の社会適応 / 自立援助の枠組 / 一人暮しの若年女子 |
Research Abstract |
1.要養護高齢女子児童の自立援助の枠組構築を目的として、その前提となる養護問題発生の構造と施設退所後の動向の把握を試みた。施設入所児童の親自体が成長の過程の中で自らの親との離別を経験したり、施設での生活経験を持っていたりあるいは、低学歴、不安定就労、低所得、人格の未熟等といった複合的な要素の中で養育機能の不全・不能を生じさせている。また退所児童に関しては、中卒の学歴のもの約50%、非専門的職種への偏りなどのように、多くの児童が援助的な関わりの必要を残しながら、不安定かつ孤立的ななかで退所後の生活をはじめなければならない状況にあることが明らかになった。 2.自立援助ホームの利用者は、若年女子の労働力そのものの貧しさに加えて、養護問題の担い手としての様々な問題を抱えている。すなわち家族の養育機能の不全、不能は彼らの年齢に応じた人格的発達を阻害し、社会規範の内面化の希薄さ、自己啓発への消極性等といった様々な問題を生じさせている。自立援助ホーム入所の時点で一人暮らしをしなければならない彼らは、15、6歳の児童という発達段階にあり、保護を必要とする存在であるにもかかわらず、当の親等からの保護や援助が期待出来ず、生活を遂行する上での機能不充足に陥ることを余儀なくさせられている。したがって要養護高齢女子児童の自立の援助は、生活を組み立てていくための機能課題、すなわち「収入確保機能」、「生活管理維持機能」、「人間関係調整機能」及び「発達に応じた社会化機能」等の機能要件不充足状況への対応であり、これらの機能が相互関連的に全体として充足されることによって彼女たちの自立が可能になると考えられる。自立援助ホームにおける援助は、このような要件の充足を図るために、住居の提供、就労援助、生活(人間関係の側面をも含んだ)指導・援助などといった具体的・現実的援助が彼女たちの生活全体の組み立ての中で与えられる必要があることが明らかになった。
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