1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04302033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 光璋 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (40004618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 敏博 滋賀医科大学, 教授 (50028388)
小倉 久直 京都大学, 工学部, 教授 (50025954)
井上 昌次郎 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (70013860)
佐藤 俊輔 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60014015)
武者 利光 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70016319)
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Keywords | 1 / fゆらぎ / 心拍ゆらぎ / 単一ニューロン活動 / 生体時系列信号 / ニューラルネットワーク / 長時間記録 / クラスタリングポワソンモデル / 心臓血管系 |
Research Abstract |
1.今日最も関心が寄せられている心拍リズムの1/fゆらぎに関して、ネコを用いた動物実験によりその低周波限界についての検討を行った。 まず、ネコの心耳に電極を直接取り付けることにより、P-P間隔を長時間にわたり安定に計測する技術を完成させ、連続4日間にわたる計測を下記の3つの異なる実験条件下で行った。 (1)予備的実験として、実験者とネコとは、給餌・給水時に相互干渉し、外乱が頻繁に与えられた場合。 (2)実験者とネコとは4日間のうち極く短時間2回接触した以外はフリーランの状態で計測が行われた。但し、ネコの可動範囲は(1)の場合より限局された状態であった。 (3)(2)と同様にフリーランの状態で、ネコは相対的に広い範囲を動くことができた。 2.上記の3条件下のP-P間隔の10^<-5>〜10^<-1>HZの帯域のパワースペクトル密度を計算したところ、いずれも極めて類似した1/fスペクトルパターンを示した。いずれの場合もハートレートがdamped oscillationを示しており、この帯域、この状態での1/fスペクトルパターンはロバストであると判断された。 3.今回得られた3つの条件に対する計測は環境条件に対する順応過程においてなされたものであるので、順応時間を十分とった場合の、計測実験を継続しつつある。 4.心臓血管系の制御システムにおいては、主として血圧の制御が重要であり、これが神経性、液性、局所性機構によって達成されている。それに対して、ハートレートの定置制御系は存在せず、それに影響を与える因子は非常に多い。すなわち、この様な心拍に影響を与える自由度の大きさが、それが1/fゆらぎすることの背景にあるだろうとの見通しを得つつある。 5.本研究のもう一つの柱であるの脳単一ニューロン活動のレム睡眠時1/fゆらぎに付いては、実行系ニューロンにおけるその時間空間的な普遍性が確かめられた。数理的には、時系列に存在するクラスター構造が1/f特性を作り出していることが示された。また、物理的には、数多くのニューロン素子が非線形相互作用するネットワークを構成していることに、1/fゆらぎが現れる本質があるものとの仮説が提唱された。 6.本年度は最終年度であるが、動物実験を追加した後に、成果報告書を提出する予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] Mitsuaki Yamamoto: "Pharmacological and model-based interpretation of neuronal dynamics transitions during the sleep-waking cycle" Methods of Information in Medicine. 33(印刷中). (1994)
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[Publications] Mitsuaki Yamamoto: "Robustness of 1/f fluctuations in P-P intervals of cat's electrocardiogram" AIP conference proceedings 285.Noise in physical systems and 1/f fluctuations,St.Louis. 687-792 (1993)
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[Publications] 山本 光璋: "生体リズムと1/fゆらぎ" nano GIGA. 2. 1071-1076 (1993)
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[Publications] 山本 光璋: "生命のリズムとゆらぎ" 言語. 22. 54-61 (1993)
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[Publications] 水谷 好成: "自然環境下における無拘束ネコの脳単一ニューロン活動の計測と解析" 計測自動制御学会論文誌. 30. 1-8 (1994)
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[Publications] 高橋 俊光: "クリスタリングポアソン過程としての脳内単一ニューロン活動とそのバイスペクトル" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1018-1026 (1993)
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[Publications] Ferdinand Gruneis: "Further study on 1/f fluctuations observed in central single neurons during REM sleep" Biological Cybernetics. 68. 193-198 (1993)
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[Publications] 佐藤 俊輔: "心電図R波系列のスペクトルについて" 第8回生体生理工学シンポジウム報告集. 65-70 (1993)
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[Publications] 小倉 久直: "1/fノイズを確率過程としてみれば" 電子情報通信学会誌. 77(印刷中). (1994)
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[Publications] Kazuo Yana: "The higher-order Moment Function of Superposed Markov Jumping Processes with its Application to the Analysis of Membrane current Fluctuations" IEICE Trans Fundamentals. E75-A. 1805-1813 (1992)
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[Publications] Kazuo Yana: "A Time Domain Approach for the Fluctuation Analysis of Heart Rate Related to Instantantaneous Lung Volume" IEICE Trans.BME. 40. 74-81 (1993)
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[Publications] Yasuji Sawada: "A scaling theory of living state" Physica A. (印刷中). (1994)
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[Publications] 吉川 昭: "確率過程の自由度・フィッシャーの情報量・周波数一時間積" 電子情報通信学会論文誌A. J76-A. 1118-1126 (1993)
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[Publications] 前田 敏博: "意識の神経機構" 脳と精神の医学. 4. 389-394 (1993)
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[Publications] Takemasa Watanabe: "Assessment of sympathetic nerve activity controlling blood pressure in the elderly using head-up tilt" Environmental Research. 62. 251-255 (1993)
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[Publications] Shojiro Inoue: "Sleep-Promoting Substance(SPS)and physiological sleep regulation" Zoological Science. 10. 557-576 (1993)
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[Publications] Masaaki Makikawa: "Microprocessor-based memory device for ambulatory heart rate and physical activity recording" Proceedings IMIA-IFMBE working conference on biosiginal interpretation. 85-88 (1993)
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[Publications] Mitsuyuki Nakao: "Characterization of Cardiocascular Dynamics on the Basis of Slow Wave Sleep" Proceedings of 15th Annual International Conference of IEEE Engineering in Medicine and Biology Society. 566-567 (1993)
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[Publications] 武者 利光: "ゆらぎの科学3" 森北書店, 202 (1993)