1993 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺および生殖器官における実質と間質の相互作用と成長因子による調節
Project/Area Number |
04304023
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友岡 康弘 理化学研究所, 研究員 (10197949)
榎並 淳平 全薬工業研究所, 室長 (30112634)
酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
武谷 雄二 東京大学, 医学部, 教授 (10114539)
舘 鄰 東京大学, 農学部, 教授 (30011711)
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Keywords | 成長因子 / レセプター / 乳腺 / 卵巣 / 胚 / 細胞株 / 黄体 / GLUT1 |
Research Abstract |
森はラットおよび牛の卵巣においてIGF-1およびその結合蛋白質BPの発現を調べ、IGF-1およびBP-IIIが黄体で発現しているが、BP-Iは発現しないことを明らかにした。妊娠中、黄体のIGF-1は分娩の直前まで増加し、分娩直後に低下する。胚がグルコースを利用できないのは、これを燐酸化するヘキソキナーゼがないからで、武谷はマウスの胚においてその発現を調べるとともに、グルコースの取り込みを促進する蛋白質GLUT1が胚盤胞期にはじめて発現すること、またGLUT1の発現にはEGFが関与していることを確認した。友岡は癌抑制遺伝子P53をノックアウトしたマウスでは細胞が株化し易いことを発見し、これを利用して神経、貯精嚢、乳腺などの細胞株を樹立し、その性質を調べた。中には、クローニングを繰り返しても同質化しない細胞株が存在し、幹細胞の可能性があるが、幹細胞であることを証明することは難しい。貯精嚢はインシュリン、EGF、FGFに反応し、乳腺はインシュリン、IGF、EGFに反応する。榎並は乳腺繊維芽細胞由来の上皮細胞成長因子が肝細胞成長因子であることを明らかにしたが、このcDNAをバキュロウイルスのベクターに組込んで蛋白質を得た。また、この精製した蛋白質より抗体をつくり、乳癌細胞の増殖を抑制することができた。一方、mRNAも種々の組織に含まれており、mRNAを測定する方法として、競合阻害を利用したPCR法を開発した。酒井は、この方法を用いて、マウス乳腺におけるプロラクチンのレセプターが糖質コルチコイドによって誘導される過程を解明した。舘はマウス乳腺上皮由来の細胞株HC11のプロラクチンに対する反応性を改善する目的で、HC11にプロラクチンのレセプターのcDNAを導入した。河本は最終分化する前後における乳腺上皮細胞の成長因子のシグナル伝達過程を比較検討した。その結果、レセプターレベルに差異があるものと考えられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] TSUTSUMI O,TAKETANI Y,OKA T: "The uterine growth promoting action of epidermal growth factor and its function in the fertility of mice." Journal of Endocrinology. 138. 437-443 (1993)
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[Publications] KAMEI Y,TSUTSUMI O,KUWABARA Y,TAKETANI Y: "Intrauterine growth retardation and fetal losses are crused by epidermal growth factor deficiency in mice." American Journal of Physiology. 264. R597-600 (1993)
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[Publications] SADATSUKI M,TSUTSUMI O,YAMADA R,MURAMATSU M,TAKETANI Y: "Local regulatory effects of activin A and follistatin on meiotic maturation of rat oocytes." Biochemical and Biophysical Research Communication. 196. 388-395 (1993)
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[Publications] NISHIMURA T,SATOW H,TAKESHITA N,KOHMOTO K: "Expression of the mC26 gene encoding GlyCAM 1 in the lactating mouse mammary gland." Journal of Biochemistry. 114. 567-569 (1993)
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[Publications] SASAKI M,NISHIO M,SASAKI T,ENEMI J: "Identification of mouse mammary fibroblast-derived mammary growth factor as hepatocyte growth factor." Biochemical and Biophysical Research Communication. (in press). (1994)
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[Publications] TAMADA H,OHNO M,SAWADA T,MORI J: "Immunohistochemical studies of insulin-like growth factor-I in corpora lutea of cycling and pregnant mice,rats,hamsters,guinea pigs and cattle." Journal of Reproduction and Development. (in press). (1994)
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[Publications] 武谷雄二、提治、矢野哲、梁善光: "細胞増殖因子の最前線「生殖機能と増殖因子」" 羊工社, 13 (1993)
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[Publications] 酒井仙吉,加藤正夫: "受容体タンパク質「プロラクチン受容体」" 広川書店, 7 (1993)