1992 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校における学科編成・履修システムの改善に関する総合的研究
Project/Area Number |
04306017
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
佐藤 全 国立教育研究所, 教異経営研究部, 室長 (50004114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄治 国立教育研究所, 教育経営研究部, 研究員 (10211872)
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Keywords | 履修システム / 学科編成 / 新しいタイプの高等学校 |
Research Abstract |
今年度は、いくつかの高校を訪問することによって、履修システムと学科編成の改革動向を理論的・実証的に把握した。その結果、次のような知見が得られた。 高校教育改革への取り組みは、次第に広ままりつつある。最も一般的な改革類型のひとつが「特色ある教育課程の設置」であり、芸術・国際・体育などトレンディな学科等が設定され魅力ある高校づくりが行なわれている。 しかし、大仕掛な改革であればあるほど、教員数不足などの現実的制約を前に立ち尽してしまう。特例措置を受けといない高校の場合、柔軟性を欠いた「大学進学者向けコース(類型)の設定」で妥協せざるを得ない。私立高校が台頭する中で、「公立こ校活性化」の戦略は、進学実績の向上という形をとることになる。改革の背景・経緯からも、進学実績の向上がいかに重視されているかがわかる。早期の進路選択と入試を見据えた「効率的学習によって、成果を上げている高校も少なくない(ホームルーム単位の習熟度別学級編成も同様)。ごく一部の特例を除けば、大部分の高校は教員配置の点で特別な配慮を受けておらず、選択科目を多く設定することはできない。戦後幾度となく論じられた「普通科と職業学科の一体化」というベクトルとは逆方向へと収斂する傾向がある。高校新設が期待薄のいま、残された方法は学校統合による大規模化であるが、現実にはその可能性はきわめて小さい。教員定数の改変などを中心として人的・材政的支援を訴える声がひときわ目立ったのもそのためだろう。 次年度は、履修システムと学科編成の変更が生徒や教師に対してどのような影響を及ぼすこという点についてさらに仔細な検討を加える予定である。
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