1993 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校における学科編成・履修システムの改善に関する総合的研究
Project/Area Number |
04306017
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
佐藤 全 国立教育研究所, 教育経営研究部, 室長 (50004114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 栄治 国立教育研究所, 教育経営研究部, 研究員 (10211872)
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Keywords | 総合学科 / 高校教育改革 / 総合選択制 / 単位制 / 類型制 |
Research Abstract |
本研究では、今次の高校教育改革の目玉である「総合学科」を中心に取り上げ、理論的・実証的な検討を加えることとした。しかしながら、「総合学科」の導入は次年度であり、その教育効果そのものを現在の段階で把握することはできない。そこで、本年度は間接的に「総合学科」と関連すると考えられるいくつかの先導的実践に焦点を合わせて考察を行った。 高校教育改革への取り組みは次第に広まりつつあり、「特色ある教育課程の設置」が試みられている。しかし、多くの改革は充分な教育資源に裏付けられておらず、従来の「類型制」と大同小異である。この動きは、私立高校の台頭(あるいは、「公立高校の地盤沈下」という背景のもとに生じている。「総合学科」を構想・実施する場合も、この歴史的な事実を見落としてはならない。とはいえ、先導的な実践の中にもいくつかの興味深いものがある。ひとつは大規模な総合選択制高校であり、もうひとつは、単位制高校である。まず前者は、大幅な選択科目を用意することで生徒の多様なニーズに対応しており、生徒の学校生活への構えを積極的にする効果をもっている。しかし、より仔細に検討すると、その<成功>の背景には学区制や推薦入学などの「特例措置」を受けているという事情がある。単位制高校もまたきめ細かな個別指導によって不登校の生徒を<回復>へと導いている。今後「総合学科」の有効性について考察するとき、以上の経験的事実や過去の歴史的事実を素材としながら改革の「構造」を解読していくことが必要である。次年度は、「総合学科」の導入をめぐって立ち現れるさまざまな問題に迫る予定である。
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