1994 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校における学科編成・履修システムの改善に関する総合的研究
Project/Area Number |
04306017
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Research Institution | National Institute for Educational Research |
Principal Investigator |
佐藤 全 国立教育研究所, 教育経営研究部, 室長 (50004114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋敷 和佳 国立教育研究所, 教育政策研究部, 室長 (70150026)
菊地 栄治 国立教育研究所, 教育経営研究部, 研究員 (10211872)
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Keywords | 総合学科 / 高校教育改革 / 総合選択制 / 単位制 / 組織の「生き残り戦略」 |
Research Abstract |
本研究では、今次の高校教育改革の目玉である「総合学科」を中心に取り上げ、理論的・実証的な検討を加えた。1994年度から設置された「総合学科」は、改革のさまざまな要素を内包している。本研究の中心的な特徴は、都道府県や個々の学校の意志決定のレベルにまで踏み込んで調査を実施した点にある。と同時に、総合選択制高校や単位制高校などいわゆる「新しいタイプの高校」が直面している課題を浮き彫りにするとともに、教授・学習過程をめぐる諸問題についてもあわせて考察の対象とした。その結果、高等学校における学科編成と履修システムの改革に関する、以下の知見が得られた。 1.総合学科は生徒の進路希望や学力の「多様性」に対するために導入された新しい学科であるが、個々の高校にとっては組織の「生き残り戦略」として位置づけられている。国と都道府県と高校といった3つのレベルで異なった「思惑」が存在する。 2.これら3種の意思決定は、多くの場合矛盾なく符合しているようにみえる。しかし、実際には財政的な支援や教員の加配は必ずしも充分ではなく、都道府県や高校では、小規模な改革への「軌道修正」が行なわれる。また、改革プランの策定をめぐって、国と都道府県との間には微妙な「齟齬」も見られ、意思決定の方法を再検討する余地を示している。 3.普通科志向が依然として強いこともあって、総合学科を「普通科よりも進学に有利な学科」と捉えられる傾向があった。この点は、普通科総合選択制高校についての検討からも容易に推測される。総合学科をはじめとした高校教育改革が「進学校」で実現されないこともあり、改革が大きな成果をもたらすかどうか微妙である。
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